フランシス水車を共同開発へ 来春発売目指す

水力発電機器製造の芦野工業(山形市)と東北小水力発電(秋田市)は22日、発電効率を高めたフランシス水車の研究、開発に共同で取り組むと発表した。2017年3月の発売を目指す。小水力発電の売電量を増やし、事業の採算性を高めることで小水力発電の普及拡大を図る。
 フランシス水車は国内の水力発電所で最も多く採用される種類で、羽根付きの車(ランナー)を水の圧力で回転させる。研究開発では、流水エネルギーに対する発電効率を既存の90%前後から、95%まで高める。
 東北小水力発電が持つコンピューター流体解析ソフトで、ランナー内に渦ができるなど発電効率を低下させる細かい要因を分析。水の流れを乱さない羽根の形状などを研究する。
 2社は出力1万キロワット以下、発電効率95%のモデル水車を水の流量、落差の違いに合わせて数種類開発し、販売に乗り出す。計画では5年後に年間20台販売、売り上げ40億円を実現する。
 小水力発電は国内に未開発の適地が多くあり、原発13基に相当する1330万キロワットの発電能力が眠ると言われる。ただ、1カ所の出力は1000キロワット未満と小さく、コストに見合う売電収入が得られず、普及していない。
 2社は高効率水車の開発で発電事業の採算性が高まれば、市場は拡大するとみる。新設発電所に加え、全国1900カ所の既存発電所の老朽化や出力増強に伴う水車更新に狙いを定める。
 東北小水力発電の和久礼次郎社長は山形県庁で記者会見し、「小水力発電は貴重な純国産の再生可能エネルギーだ。2社の強みを生かし、業界トップレベルの性能向上を実現したい」と語った。

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