フランス外出禁止令、悪質再犯に44万円の罰金 欧州、新型コロナ封じ込めに焦り 

 【パリ=三井美奈】フランスのフィリップ首相は23日、民放テレビに出演し、新型コロナウイルス感染拡大を阻止するため、外出禁止令に対する悪質な再犯者には24日以降、最高3700ユーロ(約44万円)の罰金と禁錮刑を科すと発表した。欧州では患者急増で病院の収容能力に不安が広がっており、政府が感染封じ込め策を強化している。

 フランスの外出禁止令は17日に施行された。生活必需品の買い物、近所の運動は例外として認められ、外出時は理由を記した証書の携帯を義務付けている。違反者への罰金は原則135ユーロ(約1万6千円)だが、それでも街中をたむろする人が絶えず、22日までに違反は9万件以上に上った。

 フィリップ氏はテレビで「罰則を厳しくすることにした」と述べ、15日以内の再犯者に罰金1500ユーロ(約18万円)、1カ月で4度違反した場合は3700ユーロを科すとした。「近所の運動」は1日1回、自宅から1キロ以内の距離を1時間以内に制限。屋外マルシェ(市場)も原則禁止した。

 政府が国民の引き締めに乗り出すのは、外出禁止令後も感染者急増に歯止めがかからないためだ。

 23日の仏政府の発表によると、国内の感染者は1万9856人。死者は860人で、死亡率は4%を超える。地方では患者急増に対応できず、軍が出動する事態になっている。

 東部アルザス地方ミュルーズでは、地元の病院の駐車場で、軍が野営病院の設営を急ピッチで進めている。ドイツやスイスへの患者移送も行われた。南部コルシカ島には190人以上の感染者が出ており、強襲揚陸艦トネールが出動。本土の病院への感染者移送を開始した。

 感染の急拡大が続くイタリアでは22日、新たな政令を発表。23日から公共サービスや通信、ホテルなどを除く全産業活動を停止させ、物流を除く長距離移動を禁じた。イタリアは今月10日、全国で外出制限を実施したが、感染拡大が止まっていない。23日の発表で感染者は5万418人、死者は6077人に上った。

 オーストリアでも、クルツ首相が「人と人の接触を減らす必要がある」と述べ、外出制限を4月13日まで延長すると発表。23日には警備などのため、約3千人の予備役を招集すると発表した。ドイツはメルケル首相が22日、3人以上の集会禁止や、飲食店閉鎖などの措置を発表した。

 感染による死者は23日までに、欧州連合(EU)と英国、スイスを合わせて1万人を超えた。

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