フリー素材モデルっていくら稼げるの?

ウェブメディアなどで目にする、「フリー素材」のモデルたち。ここで言う「フリー素材」とは、ウェブサイトや広告のビジュアルとして使っても、利用料を支払う必要がない写真画像のことを指す。

ブレイクするきっかけとなった「うわっ!私の年収低すぎて驚く男性」の写真がこちら

 無料ということで様々な媒体で使われ、すっかり有名になったモデルもいるが、果たして彼らは、どのようにして、どれぐらい稼いでいるのだろうか?

今回の記事では、「日本一インターネットで顔写真が使われている」フリー素材モデルとして、誰もが一度や二度(あるいは頻繁に)見たことがある大川竜弥さんに、そのあたりの事情をうかがった。

■交通事故で仕事をクビになって…
Q:大川さんが、フリー素材モデルという職業を選ばれたのはどうしてでしょうか?

大川さん:29歳のときに交通事故で怪我をしてしまい、仕事をクビに…。そこで、「これからはITの時代だ!」、「インターネットで有名になれば仕事が作れるかもしれない!」と思い、自分にできることを模索しました。

当時はタレントや役者の卵がひっそりとやっていたフリー素材のモデルに目をつけ、「これなら顔を出すだけだし、ファッションモデルのように見た目が整っていない自分でもできる」と思い、フリー写真素材サイトのぱくたそにモデルの応募をしました。

デビューは、2012年の3月。30歳になったばかりのときです。

フリー素材モデルという職業を選んだ理由ですが、はじめたころは「私はフリー素材のモデルをやっています」とアピールしている人がいなかったので、SNSをうまく使って自分の宣伝をすれば第一人者になれると思ったこと。競合と戦うよりは、競合のいない分野でひたすら自分の宣伝をするほうが性格に合っていると思ったからです。

ちなみに、「フリー素材モデル」という肩書きは自分で考え、使いはじめました。

■フリー素材モデルとしての仕事は月に1、2回
Q:フリー素材モデルのワークスタイルはどのような感じでしょうか?

大川さん:活動をはじめたころは月に数回撮影をしていましたが、ストックが増えてきたため、現在は月に1、2回の撮影です。事前にカメラマンとどのようなフリー素材を撮影するか決め、1回の拘束時間は4時間前後で数百枚撮影します。

フリー素材の撮影や企業からいただいた撮影の仕事がない日は、ひたすらアルバイトを詰め込んでいます。なので、丸1日休めるようなオフの日はありません。貧乏暇なしですね(笑)。

ただ、体型維持や健康管理のためにも週4~5日はジムで運動する時間を作るようにしています。

■フリー素材モデルの収入はゼロだった!?
Q:フリー素材モデルとして、どのぐらいの収入になるのか、差し支えない範囲で教えていただけますか?

大川さん:フリー素材は無料ですから仮に100万枚使われたとしても、収入はゼロです。

もちろん、アクセス数に応じてぱくたそに広告収入は入りますが、それもサーバー代やスタジオ代などの運営費でなくなってしまいます。

「企業コラボ」といって、企業から「こういうフリー素材を撮影してほしい」と依頼を受けたものに関しては、予算をいただいているので出演料が発生します。

ただ、ありがたいことに私のフリー素材を見た企業から、キャンペーンサイトのモデルやPR動画の出演依頼をいただくことが増えてきましたし、最近ではテレビCMやテレビ番組出演のお仕事もあります。

月によって仕事の数は違いますが、モデルとしての収入は5~20万円といった感じでしょうか。それプラス、アルバイトのお給料で生活をしています。

■副業としてのフリー素材モデルのメリット・デメリットは?
Q:今年は副業がブームになりそうですが、(たとえしばらく収入にならなくとも)副業としてフリー素材モデルを考えている人に、何かアドバイスはありますか?

大川さん:先ほどご説明した通り、フリー素材モデルは儲かりません。私もよく「露出量と収入が反比例している」と言われます。ただ、フリー素材モデルの活動をきっかけに企業からお仕事をいただく機会が増えましたし、少しずつではありますが自分でも知名度のアップを感じています。

今すぐにでも収入を上げたいという人には向かないかもしれませんが、新しいことに挑戦したい、自分の顔と名前を多くの人に知ってもらいたいと考えている人にとっては、いい選択肢なのかもしれません。

ただし、一度ネット上に掲載し出回ったフリー素材は物理的に二度と消すことができません。有名になれるかもしれないというメリットはありますが、ネット上に自分の顔写真が出回るということはデメリットもあるのです。本気でフリー素材モデルになりたい人は、目先のメリットだけではなく、自分の人生にどのようなデメリットがあるか考えてから、はじめたほうがいいと思います。

文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)

@DIME編集部

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