朝のTVの情報番組や週刊誌で特集が組まれるなど「ブラック家庭」が話題となっています。「ブラック家庭」とはどのような家庭かというと、理不尽な言動などで追い込んでくる配偶者がいる家庭のことだそうです。
特に、妻から夫への攻撃や無理な要求が増えていて、「妻が夫に挨拶もせずに、攻撃的な言動を続ける」「夫に家事の手伝いを過剰に強要し、ダメ出しをする」といった事例が挙げられ、「ブラック家庭」の主役は傲慢な妻で、被害に遭っているのは夫ということです。
「ブラック家庭」になりやすいのは、この人と一緒になれば生活が安定する、親の面倒をみてくれる、いい歳だし早く嫁に行きたい、など、「愛情以外の打算」が動機で結婚した場合が多いといわれています。
こうした動機で結婚すると、夫婦は生活のための同居人という感覚になってしまい、生活の維持が目的なので、相手に対する愛情や思いやりは不要になってしまうのでしょう。
私の相談者の中でも、このようなブラック家庭問題で悩んでいる人がいます。
井 上孝之さん(仮名/38歳・神奈川県)の妻の美紀さん(仮名/39歳)は、家事はほとんどせず、孝之さんが働いて得た給料のすべてを徹底管理していまし た。孝之さんはわずかな小遣いで我慢させられるうえに、毎日のスケジュールまでも管理されて、帰宅時間が予定より遅くても、早くても文句を言われるのだそ うです。
たまの休日にも、家事や2人のお子さん(5歳と2歳)の世話を強要される、という生活は5年以上も続いていました。こうした毎日でも、孝之さんが子どもたちのために文句も言わずにいると、美紀さんの管理欲はますます強くなっていったようです。
このままでは人生までもが美紀さんに管理されてしまうと思い、離婚しなくては……と孝之さんは相談に来られ、すぐに離婚のために弁護士を依頼。これから離婚に向けての手続きを進められるとのことです。
夫婦関係はすでに破綻しているのに、家庭生活を続けているケースは多く、家族それぞれの悩みは深く、複雑です。夫婦が嫌々一緒にいることで、家庭がブラック化していくことも多いので、覚悟を持って別れを決意することで悪循環に陥ることは防げるはずです。
(岡野 あつこ)