ヘアケア製品、家具…“お試し”が人気 買う前にじっくり確かめ…安心感

 購入前に商品を使うことができる“お試し”サービスが注目されている。新製品を低価格で使える施設や無料レンタル、体験会など形態はさまざま。価格にシビアな消費者にとって、購入する前に機能を確かめられることが支持されているようだ。(小川真由美)
 ◆1万8千人が利用
 東京・池袋駅西口の「エチカ池袋」内にある女性専用ラウンジ「クリュスタ」は、ドライヤーなど最新ヘアケア製品やメーク用品を使えるサロン。家電大手のパナソニック電工が運営する。
 パナソニック製の最新ヘアケア製品や口紅などの化粧品をサンプルから選んで借りる。1回5点までだが、1時間以内なら何回でも利用可能。1回300円からで、エステなど高くても1500円程度だ。板橋区の女性派遣社員(28)は「色味とか使いやすさをじっくり試し、良ければ買う気になる」と話す。
 昨年3月の開業以降、利用者は延べ約1万8千人。約7割が20、30代の女性で、リピーター率は全体の4割強。複数回来店した人の15%が実際にヘアケア製品を購入しているという。
 パナソニック電工ビューティ・ライフ事業部の山田香織主任は「美容器具を化粧直し感覚で使ってもらい、生活必需品だと感じてほしい」とPRする。
 ◆7日間10枚無料で
 オーダーカーテンの「カーテンファクトリー港北店」(横浜市都筑区)では、約570平方メートルの店内に約1千種類のカーテンを展示。幅210センチ、高さ250センチまでの大きさで1万円均一だが、購入前に最大7日間、1回10枚までの無料レンタルも実施している。自宅の家具やインテリアとの相性を確かめたい人に好評だという。
 また、店内には3種類の照明と5種類の床と壁の色を組み合わせたブースやスピーカー付きのブースを設置。気に入ったカーテンをつるし、部屋の雰囲気をイメージしたり、防音効果が確認できたりする。子供が遊べるコーナーもあり、家族連れがレジャー感覚で来店しやすいよう配慮している。矢田靖人社長は「買い物の過程を楽しんでもらうことで、カーテンを気軽に付け替えてくれれば」と売り込む。
 ◆参加者の8割購入
 ウッドスプリングのベッドを販売する「スリープショップ」(大阪市西成区)は5年前から全国7店舗で、毎週金~日曜日に無料の「快眠体験会」を実施。数種類のスプリングやマット、電動式など複数のベッドの使い心地を体験し、自分の体形や体調、姿勢に合ったものを選ぶことができる。
 1組2時間の予約制で、希望すれば店舗内での宿泊も可能だ。1台平均16万円程度と決して安くないため、購入までに2、3回通う人も少なくない。それでも体験会の参加者の約8割が購入していくという。
 番上(ばんじょう)俊秀社長は「コストがかかっても納得して買ってもらえればクレームは少ない。不況だからこそお客さまとのコミュニケーションが大事」と狙いを話す。
 ■試供品の受け取り 街頭が最多
 マーケティング調査会社「ヤフーバリューインサイト」と雑誌「販促会議」が首都圏在住の20~59歳男女400人に試供品に関する調査を実施(複数回答)したところ、入手方法で最も多いのが「街頭で受け取る」(62.5%)だった。「パソコンのウェブサイトから応募」(56.8%)▽「サンプリングスペースに行く」(38.3%)▽「新聞や雑誌」(31%)-が続いた。「ケータイサイトから応募」(男性9.5%、女性7%)など携帯電話以外からの入手はすべて女性が男性を上回った。

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