ベライゾンがボーダフォンとの合弁を取得へ、歴代3位の大型案件

[ロンドン/サンディエゴ 2日 ロイター] – 米ベライゾン・コミュニケーション<VZ.N>は2日、英ボーダフォン<VOD.L>から合弁会社ベライゾン・ワイヤレス株45%を1300億ドルで取得することで合意したと発表した。
これによりベライゾンはベライゾン・ワイヤレスを完全子会社化し、14年間続いた両社の提携は解消されることとなる。
合意では、ボーダフォンが現金589億ドル、ベライゾン株602億ドルを受け取る。この他、110億ドル相当の取引を通じ、買収規模は1300億ドルになるとしている。
企業の買収案件としては、1999年のボーダフォンによる独マンネスマン買収(2030億ドル)、2000年のアメリカ・オンライン(AOL)によるタイム・ワーナー買収(1810億ドル)に続き、過去3番目の大きさとなる見通し。
英ボーダフォンは米国の携帯市場から完全撤退する。
両社の取締役会は全会一致で案件を承認した。取引は2014年第1・四半期の完了を予定している。
今回の合意により、ベライゾンはワイヤレス部門の手持ち資金を超高速通信網に投資することが可能になる。競争の激化する米携帯通信市場で他社の追撃をかわしたい考えだ。
同社はベライゾン・ワイヤレスの完全取得で直ちに1株利益(一時項目を除く)が約10%押し上げられるとの見方を示した。
ボーダフォンは優良資産を手放すものの、株主還元の拡大や欧州事業の強化に充てる資金を得ることになる。同社は株式売却益の7割を株主に還元するとした。また、向こう3年度で携帯通信網やブロードバンドネットワークの改善に60億ポンド(93億ドル)を投じる考えを示した。
ボーダフォンのビットリオ・コラオ最高経営責任者(CEO)は記者団に対し、ベライゾン・ワイヤレスは「優れた勢いを持つ事業での非常に生産的なパートナーシップだった」と述べた。
またベライゾンのローウェル・マカダムCEOは、買収に適したタイミングだったとして「当社にとってエンジン加速のきっかけになる」と述べた。
ただこれによりベライゾンは新たに多額の借り入れを背負うことになる。今後は債務返済が優先され、当面は大型投資が難しくなる可能性があるとの指摘もある。
マッコーリーのアナリスト、ケビン・スミセン氏は「おそらく少なくとも短期的には大型案件は難しくなるだろう」と述べた。また、米ワイヤレス市場の成長鈍化と小規模ライバルとの価格競争という点からみると、買収価格が高すぎた可能性があると指摘した。
両社の合弁事業をめぐっては、ボーダフォンの動向が常に思惑を呼んでいた。
両社の協議は、金利上昇見通しや自社の株価下落を背景に機会喪失の懸念を強めたボーダフォンの思惑がきっかけとなり、夏にかけて活発化した。関係者がロイターに明かしたところによると、これにより金額は当初ささやかれていた1000億ドルからボーダフォンの希望額1300億─1350億ドル付近に引き上げられることになった。
ボーダフォンのコラオCEOにとっても、欧州景気に改善の兆しがみられ、ソフトバンク<9984.T>によるスプリント・ネクステル買収で米市場の競争激化が必至とみられることから、思いがけないタイミングだったと考えられている。
*内容をさらに追加して再送します。

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