ソフトバンク社の人型ロボット・Pepper(ペッパー)の契約更改が佳境を迎えている。
ソフトバンクグループ子会社のソフトバンクロボティクスは、2015年10月から契約期間が3年の法人向けモデル「Pepper for Biz」を開始。つまりPepperを契約した法人は今年10月から契約更改となる。
ところが、「日経xTECH」の調査で、レンタル契約の更改を予定する企業が15%にとどまることが明らかになった。Pepperの導入を表明している44社を対象にアンケートを実施し、27社から回答を得たが、「更新予定」と答えた企業は27社中4社(15%)のみ。
Pepperを導入した企業の担当者は、
「3年前は目新しさがあったのですが、今となってはブームは過ぎ去り、Pepperを見かけても、多くの人がスルーしていきます。結局、ロビーやフロント前においても、話しかけるのは小さい子ども。今は、倉庫に眠っています」
と漏らす。
ここ数年、急速にウェブサービスやアプリケーション、AIが発達してきたことで、「Pepperである必要がない」「他のサービスで補填(ほてん)できる」という声も上がる。多言語対応が売りの一つであったPepperだったが、現在はiPadのアプリでカバーが可能だという。
AIベンチャー社長の高倉葉太氏もこう指摘する。
「開発ツールが整っているソフトバンク制作なので、技術的にはお墨付きでしょう。ただ、技術をどう生かすかがカギ。Pepperは、技術や人工知能の無駄遣いと言えるのでは」
さらにネックなのは費用だ。ソフトバンクロボティクスによれば、Pepperの法人向けプラン(3年契約)は、手数料と月額利用料で198万9800円(税抜き)。「アプリのほうが便利でかつ安いので、Pepperを使う意味がなくなりました」(企業担当者)
しかしソフトバンクはただでは転ばないだろう。
「数多くのロボットを開発してきた米のベンチャー企業『ボストン・ダイナミクス』を買収した。返却されたPepperと、ボストン・ダイナミクスの技術を組み合わせて、次世代の技術開発につなげるのではないでしょうか」(高倉氏)
うつむいて倉庫に眠るPepperのリニューアルした姿を見たいものだ。(本誌・田中将介)