「ぜひ東京にとどまっていただきたい」――。安倍晋三首相は7日、緊急事態宣言を発令し、会見で都民の若者たちにこう語りかけたが時すでに遅し…。同宣言が出ると判明して以来、すでに東京から脱出する人が急増。親元に帰省する学生だけでなく、東京・新宿の歌舞伎町で働くホストが大挙して名古屋へ押しかけ“疎開営業”することも発覚し騒然となった。それだけではない。風俗嬢も安全に稼げる場所を求め、出稼ぎに行くという。
東京を含む7都府県に発令された緊急事態宣言の期間は5月6日までだが、発令前のSNSでは「東京脱出」「コロナ疎開」というワードが拡散されていた。同宣言が出て行動が制限される東京を離れる人たちが、もう急増していたのだ。安倍首相の言葉通り、脱出した人たちが地方でコロナを拡散させ、クラスター化する懸念がある。
事実、新潟県は7日、東京から帰省していた20代女性と30代男性に感染が判明したと発表。4日にも広島県で東京から帰省していた20代アルバイト従業員の感染が判明。このようなケースは増えており、沖縄県石垣島と宮古島は観光や帰省による来島自粛を求めているほどだ。
こんな状況下で東京を代表する“夜の街”歌舞伎町のホストクラブのホストたちが「名古屋へやってくる」と話題になり地元民は激怒。高須クリニックの高須克弥院長はツイッターで「お願いいたします。帰ってください。名古屋のお店の多くは自粛中です。名古屋市民は君たちを歓迎しません」と憤った。
結局、歌舞伎町のホストたちは7日時点で“疎開営業”を取りやめたことを発表した。しかし、残念ながらこの流れは止まりそうにない。風俗嬢の間でも東京など首都圏から地方への出稼ぎの動きがあるという。
風俗情報誌「俺の旅」の生駒明編集長は「間違いなく出稼ぎが増えるでしょうね。もともと風俗業界には出稼ぎのシステムが確立されていますから」と指摘した。
緊急事態宣言により風俗店の営業がどうなるか不透明だ。8日以降も営業する予定の店が多い。
都内で働くデリヘル嬢は「お店から営業をやめるという連絡はありません。この業界はコロナの感染がやばいと思うので、早く“休み”って決めてほしいです」と不安を明かした。
このデリヘル嬢のように、自粛に前向きな人ばかりではない。生駒氏は「緊急事態宣言となれば今までよりも客は少なくなると予想されます。働く女の子たちだってコロナは怖いですが、自分の生活も大事なんです。稼げなくて生活が維持できないと分かれば地方へ行きますよ」。
出稼ぎ先は風俗嬢同士のネットワークで聞いたり、自分をスカウトした人間を頼ったりして探すという。
「出稼ぎには手配師という仲介人がいます。ツイッターでも勧誘していますよ」(生駒氏)
確かにツイッターでは「出稼ぎでお困りの方はご連絡ください」「出稼ぎ対応できます」といった書き込みが見受けられる。
「出稼ぎ先は宣言の出る7都府県以外で、特にコロナの感染者が少ないところを希望する人が多いでしょうね。女の子の確保に困っている地方のお店は多く、コロナは怖いけど、出稼ぎ嬢に魅力も感じてしまうのです」(前同)
日本全国どこに行ってもコロナ不況の影響があり、地方に行ったから稼げるというものではない。だが、少しでも東京にいるよりマシならば、脱出もやむなしとなってしまうわけだ。
とはいえ都市封鎖(ロックダウン)はできない。安倍首相は会見で「(現状の)5日で2倍のペースで感染拡大が続けば、2週間後には(感染者が)1万人、1か月後に8万人を超える」と警告。地方への移動には「自分も感染しているかもしれないという思いを特に若い方に持ってもらいたい。ぜひ東京にとどまっていただきたい」と訴えたが、果たしてどれだけの風俗嬢、ホストが言うことを聞くのだろうか。