ホテルも禁煙化…客室の半数占める 宴会場やバーに拡大

たばこの値上げを背景に禁煙ブームの波が高まるなか、大阪市内の主要14ホテルの禁煙室率が平均約44%(9月時点)に達し、このうち7ホテルは50%を超えていることが15日、分かった。来春には禁煙室率が50%以上のホテルは計9ホテルに増える見通しで、こうした流れを受け、大阪市内では禁煙化への対応を急ぐホテルが相次いでいる。
 10月1日開業したセントレジスホテル大阪(大阪市中央区)は、客室の約80%にあたる129室を禁煙室として営業を始めた。レストランや宴会場、ロビーなど、共有スペースはすべて禁煙。スタッフも業務中は禁煙とし、アルコールが出るバーも禁煙と、業界でも異例の方針を打ち出した。
 ホテル日航大阪(同市中央区)も、10月から24階の客室34室を禁煙室にし、全643室の禁煙室率を40%から46%に拡大した。
 さらに、レストランなど10店のうち2店に限っていた終日全面禁煙を、10月から11月にかけ2店を加えた4店とした。残りの6店も土・日曜、祝日に限り、禁煙か分煙での営業をスタート。苦情や利用客減などはなく、「客室やレストランに限らず、宴会でも禁煙の要望が増えている」と、同ホテル広報の鬼村知恵さんは、禁煙に対する社会の流れを実感しているという。
 平成24年中に全548室の半数を超える大幅改装を進めるスイスホテル南海大阪(同市中央区)も、禁煙室を拡大させる方針だ。現在は約40%の禁煙室率を、改装後には約70%に引き上げる。外国人客が約5割を占める同ホテルでは「禁煙は世界的な流れ」(広報担当者)で、外国人客の8~9割は禁煙室を希望するという。
 ホテルグランヴィア大阪(同市北区)も19年から20年にかけて実施した改装にともない、全648室のうち禁煙室を331室と従来の6倍に増やした。
 禁煙室を予約する宿泊客は、禁煙に対する要望が強く、ホテルにとっては“禁煙”という付加価値を高めることで客室料金の値崩れを防ぐ効果もある。一昨年秋のリーマン・ショック以降、法人需要が落ち込むなか、ホテル各社はニーズの高い禁煙室を増やすことで客室単価の向上を目指している。

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