国内では、さまざまな種類の開発が続くエコカー。世界は今、どこを見ているのか。ホリエモンこと堀江貴文氏が指摘する。
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世界の自動車の次世代の潮流は完全にEV(電気自動車)である。
多くの国ではベースロード電源として原子力発電が使われている。原子炉は一旦稼働したら、停止して再稼働するのが大変なので、ずっと稼働し続ける。そのため電力需要が少ない夜間はどうしても電力があまってしまう。実は、EVはその時間の安い電力を使って蓄電するための分散型蓄電インフラとしても期待されているのである。
そうした社会インフラとしての期待がある上に、EVは自動車の部品点数が一般的な自動車と比べて極端に少ない。究極のEVはインホイールモーターというホイール一つ一つにモーターが入っている形である。そうなるとインホイールモーターメーカーが供給するいくつかの規格品のコンポーネントを完成車メーカーは組み込むだけで、あとはドライブバイワイヤ(電子制御スロットル)方式で電池と制御用のコンピュータがあれば、とりあえず動く自動車が完成する。
もちろん、ほかにも色々な部品は必要なのだが、エンジンとギアボックス、ドライブシャフトとディファレンシャルが必要なくなるというのは大きな変化であろう。ブレーキは回生ブレーキシステムとしてインホイールモーターに組み込まれることになる。
そうなるとどんな変化が生まれるかといえば、オフコン全盛の時代にパソコンが生まれたような状況が発生するのである。恐らくモーター、電池、制御コンピュータのメーカーが少数寡占をするような状況になり、完成車メーカーが乱立する。すでに中国などでは電動スクーターがそのような状況になってきている。
そして制御系以外の情報系、カーナビやコントロールパネル、カーオーディオなどは、すでにスマートフォンやタブレットで十分な状況で、実際に消費者は常にネットに接続されているデバイスを求めている。あらかじめ自動車に装着されたカーナビなど、もはや必須ツールではなくなっているのである。
トヨタなどはFCVのような燃料電池車を推進することで新たな参入障壁をつくろうとしているが、明らかに世の中の動きに逆行していることは間違いない。ハイブリッド車にしてもEVへの移行をできるだけずらそうとしている後ろ向きな動きだと思われる。米国のカリフォルニア州で、ハイブリッド車がエコカーの定義から外されたのも当然の結果だろう。
これまでのアップル社の動きを見ると、自動運転車まで見据えてEVに取り組んでいるのだと思う。巷で話題になっている、テスラ・モーターズを買収することだって選択肢の一つだと考えているに違いない。テスラ社のCEOのイーロン・マスクごとアップル社に引き抜いてしまおうという動きもエキサイティングなチャレンジである。
こうしたダイナミックな動きに対抗しようと思ったら、経営資源を自動運転車とEVに集中するしかない。イノベーションのジレンマに陥っている場合ではないのである。