ホリエモンがMVNO事業に参入、月額3030円で20GB+5分かけ放題の「HORIE MOBILE」 ただの格安SIMと何が違う?

ホリエモンこと堀江貴文氏とMVNOで「X-mobile」を展開するエックスモバイルが新サービスブランド「HORIE MOBILE」の立ち上げを発表した。申し込みの受け付けを3月16日に始める。

HORIE MOBILEが誕生した

 HORIE MOBILEは月間データ容量20GBに1回5分までの定額通話が付き、月額3030円(税込み、以下同)で利用可能なNTTドコモ回線を用いたサービス。24時間何回でも国内通話定額(かけ放題)を+1500円、端末補償を+500円で追加することも可能だ。

 また、20GBから50GBへアップグレード可能なサービスに加え、国内ではau回線を海外では別の回線に自動接続可能なモバイルWi-Fi端末を別途用意する。

主な概要と今後用意されるサービス

 なお、HORIE MOBILEの運営はエックスモバイルが行うため、事業者単体でのローンチではなく、エックスモバイルのサービスの1つという位置付け。そのため、これまでエックスモバイルが売りの1つとしてきた、全国363のエックスモバイル店舗での各種サポートをHORIE MOBILEのユーザーでも受けられる。

 9日の記者会見では堀江氏とエックスモバイル社長の木野将徳氏がローンチの背景や、今後のビジョンなどを語った。

堀江貴文氏(左)とエックスモバイル社長の木野将徳氏(右)

 なぜ、今、堀江氏のMVNOなのか? 堀江氏は「MNOとなると、まず基地局を建てるための資金が必要になり、大手の企業しか参入できない」と市場の現状を語った。加えて、「結果的に料金が高止まりしてしまう」と述べ、3社寡占になってしまう携帯電話業界でよく耳にするネガティブな点に触れた。

 一方のMVNOは基地局やコアネットワークを持たない事業者を指す。MVNOではこれらの設備をMNOから借り受けてサービスを展開できるため、これまでにもさまざまな異業種が参入してきた。

 しかも、毎月高くても基本3000円程度で済むプランが多い。20GBプランといえば、NTTドコモの「ahamo」、KDDIの「povo」、ソフトバンクの「LINEMO」というオンラインブランドの選択肢がある。データ使用量に応じて毎月の料金が変動する、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VII」でめいいっぱいデータを使っても月額最大3278円で済む。

 しかし、楽天モバイルを除くオンラインブランドは文字通り、新規契約や契約後のプラン変更など手続きをユーザーがオンラインで行わなければならず、安い反面、ユーザーにとっての負担と捉えられることが多々ある。

 そこでHORIE MOBILEでは上述の店舗サポートに加え、ある目玉を用意した。それはHORIE MOBILE独自特典だ。HORIE MOBILEユーザー限定の特典として、「ZATSUDAN」「Voicy」をはじめとした、堀江氏のビジネス、政治、経済などの情報を取得可能なデイリーホリエニュースが用意される。

 また、堀江氏が展開するパン屋「小麦の奴隷」のカレーパンを月1回無料で食べられる特典も付く。堀江氏は「将来的にはこのパン屋でもHORIE MOBILEを契約可能にする」との考えを明らかにした。

オンラインだけでなく店舗でのサポートも受けられる

HORIE MOBILEで用意される独自特典

 いわゆる付加価値のアピールだが、MVNOでいくらそういったサービスを打ち出しても、肝心の通信速度は理論的にはMNOに劣る。この点は堀江貴文氏いわく、「最近の通信速度はMVNOでも比較的高速化できている」とのことだ。

そもそもなぜ「ホリエモン×エックスモバイル」なのか

 そもそも堀江氏と木野氏がタッグを組んだ理由は何か? 木野氏は「私が堀江さんの本を読み、ファンになったのがきっかけだった。エックスモバイル創業時も堀江さんに会いたいとメールを送ったところ、快く応じてくださった」と振り返った。

 こうして生まれたHORIE MOBILE。木野氏は「携帯業界のLCC」と表現する。

プレゼンで度々登場した「LCC」というワード、携帯電話業界にも通ずる面がある

 その理由は木野氏の経歴とも関わってくる。木野氏はエックスモバイルの創業前、起業家に関するセミナーや勉強会に参加していた。そんな中、LCC(格安航空会社)でもある「エアアジア」の創業者、トニー・フェルナンデス氏と出会い、影響を受けている。その後、アジアやヨーロッパを巡り、世界の携帯電話市場の現実を学んだ木野氏は「日本の携帯代を半額にすること」を決意する。

木野氏の略歴=出展はX-mobileのWebサイト

 つまり、これまでのエックスモバイルもHORIE MOBILEも、携帯業界のLCCというメッセージを掲げている点では大きく共通している。

 堀江氏も日本の携帯電話料金の高さに触れる。「生活保護を受ける人の話を聞く機会があり、出費で最も多いのが携帯電話料金だった」 

 両氏の考えをまとめると、HORIE MOBILEでは単なる20GBプランにとどまらず、店舗サポートと付加価値の両方を重視したサービスでもあるようだ。従って必ずしも堀江氏のファンだけを囲いたいというわけでもなく、むしろエックスモバイルの良さとメディアへの露出が多い堀江氏が組み合わさることで、これまでにないサービスが誕生したといえよう。

 これからの時代、20GBプランで戦うなら、他社とは違う付加価値をアピールし、さらに踏み込んだ安さを提供していく必要があるようだ。木野氏は「100円、200円の料金差だと、魅力を感じてもらえず、乗り換えてこない」とした上で、ユーザーが面白いと思うコンテンツを用意し、1日1000回線増やしていくことを目標にしている。MVNOで純増ナンバーワンを目指す」と話した。

 堀江氏は「MNPの制度改正が発表され、新しいキャリアへ連絡するだけで、乗り換え作業がワンストップで済むようになる。また、これまでMNOにしか割り当てられていなかった電話番号がMVNOにも割り当てられるようになる」と、携帯電話業界の現状にも触れた上で、「他社からわれわれのサービスに乗り換えてくる見込みは十分ある」と意気込んだ。

MNOではなくMVNOを選んだ理由と意気込みを語る堀江氏

仮想通貨がたまる仕組みも検討

 今後の展開について、堀江氏はWeb3に関する内容も用意していることを明らかにした。サービスを使えば、仮想通貨がたまる、そんなイメージという。堀江氏は詳細について、「9日の発表時点ではまだ仮説の段階なので何とも言えない」としつつも、「3月16日に発表する」とした。

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