ホンダは30日、国内の従業員約4万人の定年を60歳から65歳に延長する方針を明かした。60歳以上を雇う制度は今までもあったが、給料はそれま での半分で、負担の重い海外駐在もさせないと労使で取り決めていた。新制度では8割程度の給料を保証。新興国を中心に海外にも派遣し、経験を生かしてもら う考えだ。
ホンダによると、定年の65歳への延長は自動車大手では初めて。労働組合とは大筋で合意しており、2016年度中の導入をめざす。60歳以上の給 料が高くなる分は、退職金制度の改定や、業界平均よりも高い時間外手当の減額、出張日当の廃止などを通じて捻出し、全体の人件費が増えないようにする。
ホンダは、新興国の現場では、古い技術にも精通した経験豊かな人材への需要が大きいと見ている。このため定年延長で60歳以上の人材の待遇を改善し、アジアや中国などで働いてもらいたい考えだ。
ホンダが10年に導入した「再雇用」制度は、60歳で定年を迎えた人に一度退職してもらったうえで、改めて給料が現役時代の半分になる新しい契約を結んでいた。この制度下で海外駐在した人材はいなかったという。
ホンダはあわせて、給料に成果主義をこれまで以上に持ち込むことや、在宅勤務の導入、育児のための短時間勤務や子供の看護休暇の拡充、半日単位で使える有給休暇の創設なども準備している。