ホンダは8日、電気自動車(EV)専用の車種を開発すると発表した。プラグインハイブリッド車(PHV)と燃料電池車(FCV)に加え、EV開発にも力を入れる。安全技術では2025年をめどに一般道での自動運転技術を確立する。「先進安全と電動化の導入を最重要項目とする」(八郷隆弘社長)として、次世代技術に重点を置く。
ホンダは18年に中国で現地向けのEVを発売する予定。これとは別にEV専用車種を開発し、その他の国でも販売を始める。EV用の車台(プラットホーム)を開発し、電池を効率よく搭載するほか、車の走りの性能も高める。EV開発を強化するため、研究所内に昨年秋に専門の組織を立ち上げた。二輪車でも18年に電動スクーターを投入するなど電動化にかじを切る。
20年には高速道路で複数車線での自動運転に対応した車両を量産する。人工知能(AI)などを活用して一般道などに適用を拡大する。25年ごろに地域など条件が限定された環境での自動運転技術を確立する。
自動車業界では米フォード・モーターが21年までにライドシェア事業者向けにアクセルやハンドルのない完全自動運転車の量産を始める計画。独フォルクスワーゲンも21年に完全自動運転車の市販をめざしており、各社の開発競争が激しさを増している。
今回ホンダは、30年に向けた経営方針となる「2030年ビジョン」も策定し、質の追求による成長をめざす姿勢を改めて打ち出した。伊東孝紳社長(現・取締役相談役)時代の10年に「いいものを早く、安く、低炭素で顧客に届ける」とした「2020年ビジョン」を発表した。20年の3年手前で、30年に向けた経営方針を打ち出した背景について、八郷社長は東日本大震災や新興国経済の減速など環境の変化を挙げた。
2030年ビジョンでは地域間の連携強化による効率化や、既存事業の基盤強化、外部企業と連携するオープンイノベーションの推進を重点領域とした。具体的には、顧客の要望が近い地域同士で、地域専用モデルの共同開発や共用を広げるなど地域間の連携を深める。
開発領域が広がる中、既存事業の効率化にも着手し、部品などを共有化するモジュラー戦略の導入を検討する。開発と調達、生産の部門間の連携を深めてコスト低減を担う部署を作るほか、顧客の感性に訴える製品開発にも乗り出す。19年発売予定のモデルから反映されるとしており、効率化と「らしさ」の両立をはかる。(若杉朋子)