東北でホームセンター(HC)の競合が激しさを増している。サンデー(八戸市)とダイユーエイト(福島市)は新規出店で勢力を拡大。人口107万都市の仙 台では全国チェーンに対抗し、地元のダイシンが全店改装で差別化を図る。「戦国時代」を生き残るのはどこか。(八戸支局・岩崎泰之)
<小商圏に小型店>
サンデーは10月、十和田市郊外に「ホームマート(HM)十和田湖店」を出店した。小商圏人口5000を見込む小型店で、2013年9月登場のHMでは14店目。人口減少が顕著な地域に積極的に展開する。
十和田湖店は広さ約990平方メートルで既存HMと同規模だが、レイアウトを一新した。食料品が正面入り口に、工具などは奥に並び、印象はスーパーマーケットに近い。11月には岩手県に同様の2店を出し、大型店を含む同社の店舗数は来春までに100店に達する。
サンデーの14年度売上高は約470億円。東北に本社を置くHCで最大。ことし9月には山形県などに19店を持つ子会社ジョイを吸収合併した。川村暢朗社 長(57)は「北東北だけでは東北で一番とはいえない。HMを20年までに100店舗にする構想もある。仙台圏、東北全域で出店を続ける」と攻めの姿勢 だ。
<仙台圏も視野に>
福島、山形両県を中心に北関東を含め63店舗を擁するダイユーエイトも、年2、3店のペースで新規出店を進める。正社員数を減らし人件費抑制も徹底する。
サンデーより多い人口2万~3万を小商圏に位置付ける。売り場面積は約3300平方メートルが主軸だ。三瓶善明専務(62)は「人口減少が進めば人口2万~3万の地域に人が集まる。この規模だと全国チェーンの大型店もない」と説明する。
ことし1月に秋田県にHC4店舗を持つ日敷(湯沢市)を子会社化し、秋田県北への進出を検討する。来年夏には登米市に宮城県内3店舗目を出し、さらに仙台市や名取市を念頭に先発組の店舗間の「狭商圏」を狙った戦略を練る。
<品ぞろえを転換>
東北では11年の東日本大震災を機に全国チェーン進出が活発化。特に仙台市は売り場面積8000平方メートル以上の大型店がひしめく。
ダイシンはことし7月までに宮城県内全店を改装し、男性・プロ向けの品ぞろえを女性・家族向けに切り替えた。約1650平方メートル前後の開放的な店内にはパズルやおもちゃも並ぶ。
仕入れ担当者は「仙台は既にオーバーストア。従来のHCでは太刀打ちできなかった。ソフト面の差別化が重要だった」と言う。
同社によると、既存店の立地条件の良さという強みもあり、減少傾向だった売り上げは15年度、前年度比5%増の84億円を見込むまで回復した。新規出店の予定はないが、小型店舗の可能性は模索するという。
チェーンストア全盛の時代、HCはどうなるのか。サンデーの川村社長は「マーケットがある限り出店を継続する。原点である住まいの分野に特化した専門店も試したい。小売りには消費者の生活に対応した変化が常に求められる」と気を引き締める。
[メ モ]ホームセンターは1970年代前半に現在の形態になり、全国に広まった。近年はドラッグストアやコンビニエンスストアとも競合する。ホーマック(札幌 市)などの親会社で国内最大手のDCMホールディングス(東京)がことし7月にサンワドー(青森市)を完全子会社化したように、業界の再編が進むとの見方 もある。