ポケGO効果、中心商店街の通行量3・6倍も 仙台市のオープンデータ基に分析

仙台市内でスマートフォンゲームの世界的イベント「ポケモンGOフェスト2024」が開かれた5月30日~6月2日の4日間、青葉区中心部の一部商店街の通行量(推計)が前週比で3・6倍になったことが分かった。市のオープンデータ「SENDAIデータダッシュボード」を基に、河北新報が分析した。国内外からプレーヤーが詰めかけ、にぎわいを見せた状況がデータでも浮き彫りとなった。(せんだい情報部・吉江圭介)

 プレーに有料チケットが必要な主会場の七北田公園(泉区)だけではなく、無料で珍しいポケモンと出合える公式10ルートの一つとなった中心商店街に人が集中した。

 [SENDAIデータダッシュボード] 青葉区の中心商店街と勾当台公園、定禅寺通に近距離無線通信「ブルートゥース」のセンサーを28個設置し、通行量を常時計測。ウェブサイトで3月以降のデータを掲載している。機器の点検などで一部地点の計測を停止し、データがない場合がある。サイトでは人口や気温などの情報も掲載している。

 6商店街の4日間の通行量と前週(5月23~26日)との比較は表の通り。JR仙台駅に近接する「ハピナ名掛丁商店街・西」は2倍弱の75万4000人を記録。計測センサーが設置されている全28カ所で最も多かった。

 前週に比べて最も伸びたのは、市地下鉄東西線青葉通一番町駅そばの「サンモール一番町商店街・中央」。3倍を超え、1日当たり3万人に達した。みやぎ応援ポケモン「ラプラス」がデザインされたマンホールが人気を集めたとみられる。

 残る4商店街の人出も軒並み増加した。東二番丁通付近の「クリスロード商店街・西」、いずれも藤崎に程近い「マーブルロードおおまち商店街・西」と「ぶらんど~む一番町商店街・南」は、いずれも2倍前後で推移。広瀬通寄りの「一番町四丁目商店街・南」も前週から大幅に伸ばした。

 対照的に、公式ルートに選ばれたものの、仙台駅から離れている「定禅寺通・春日町交差点西側」「西公園SL広場」は前週とほぼ変わらなかった。屋外のため、期間中に天気が崩れた影響があったとみられる。

 市中心部で5月18、19日の土、日曜にあり、約93万人が訪れた「仙台・青葉まつり」と、ポケモンイベントの土、日曜の通行量も比較した。青葉まつりですずめ踊りが披露される流し踊りのルートだった3地点でも、ポケモンイベントの通行量が上回った。

 「サンモール一番町商店街・中央」は5万7000人で、青葉まつりの2・4倍。「クリスロード商店街・中央」「マーブルロードおおまち商店街・西」はともに1・5倍前後だった。

 一方、青葉まつりの主会場の「定禅寺通・県民会館前」は2割少ない3万6000人にとどまった。

仙台市中心部の通行量(2024年5月1日~6月5日)

A Flourish map

「青葉まつり」をしのぐ通行量

 仙台市青葉区の中心商店街がごった返した人気ゲーム「ポケモンGO」の世界的イベント。杜の都を代表する「仙台・青葉まつり」をしのぐ通行量だったことを示すデータは、商店街関係者の実感に合致する。

 青葉区一番町のマーブルロードおおまち商店街で、青葉まつりの2日間と比較した通行量は1・6倍だった。おおまち商店街振興組合の土屋勝裕理事長(64)は「人出は非常に多く、インバウンド(訪日客)が目立った」と振り返る。

 「歩きスマホなどの課題を差し引いても、交通や宿泊、飲食の経済効果はさすが。仙台に来た人たちが魅力を感じ、再び訪れたいと思ってもらえたかどうかが重要」と話した。

 「今年の青葉まつりより人は多かった」と語るのは、青葉区中央のクリスロード商店街で小売店の店長を務める50代男性。ポケモンイベントの通行量は1・4倍を上回った。

 休業日の銀行前の人だかりや、ファストフード店に並ぶ行列を目にしたという。「確かに人出はすごかったが、にぎわったのは飲食だけ。地元の人が混雑を敬遠し、美容室など普段使いの店は暇になった」と複雑な表情を浮かべた。

 市観光課の日下和彦課長は周辺部の公式ルートもにぎわったとして、「中心商店街を含めて市全域を周遊してもらう狙いの通りになった」と成果を強調した。市はビッグデータを活用し、会場の七北田公園にいた参加者がどのように行動したかなどを分析する。

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