ポストコロナで宅配・持ち帰りサービス、新興企業の倒産が急増中

コロナ禍からの日常が取り戻されつつあるなか、成長分野として注目されてきた「宅配飲食サービス」「持ち帰り飲食サービス」、さらに「新興企業」の倒産が急増している。

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 東京商工リサーチの調べによると、2022年度(4~2月)の飲食業全体の倒産件数は508件と、前年同期(556件)に比べ8.6%減少。年度では04年度以来18年ぶりに600件割れが確実だという。

 コロナ禍が収束の動きを見せ、企業活動もコロナ前に戻る兆しを見せているが、「宅配飲食サービス業」は前年同期の16件から2倍を超える35件に増加。また、「持ち帰り飲食サービス業」は、同15件から23件と53.3%増で急増している。コロナ禍で生まれ、注目企業として売り上げを伸ばしながら倒産に至る理由を、同社の友田信男情報本部長が解説する。

「コロナ禍による巣ごもり、外出制限で消費者の生活は一変しました。巣ごもり等で宅配、持ち帰り飲食サービス業は新しい需要を拡大しましたが、消費者のコロナ慣れと、行動制限解除などで人の動きが回復し、新たな生活様式が定着する一方、これまでの反動で外出が増えてきました。この消費者の行動の変化に宅配・持ち帰りサービス業がダメージを受けたということです」

■唐揚げ専門店の倒産が多い背景

 テイクアウトとデリバリー需要から22年4月には4377件と、1年間で1256件増え、全国で大ブームを迎えた唐揚げ専門店がその典型である。過当競争と鶏肉価格の高騰で22年には閉店が相次いでいるのだ。

「宅配・持ち帰り飲食サービス業」同様、期待されながらも倒産する企業が増えてきたのが、創業10年未満の「新興企業」だ。

■倒産企業でも「新興企業」率が高い

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 前出の調査によると、22年に倒産した企業のなかで「新興企業」の構成比は、08年以降の15年間で最高の29.6%に上った。

「長引くコロナ禍で政府や自治体の雇用調整助成金などさまざまな融資、支援で持ちこたえてきましたが、物価上昇、人手不足が重なり、経営基盤が脆弱な新興企業はコロナ禍で深刻な経営危機にさらされてきています」(前出の友田本部長)

 新興企業の倒産で最も多いのは金融・保険業の53.3%(前年40%)で、さらにサービス業40.7%(同36.9%)、不動産業35.8%(同26.7%)、建設業31.4%(同25.1%)と倒産件数が増えている。

 倒産件数が急増している「宅配・持ち帰り飲食サービス業」「新興企業」の今後について前出の友田本部長がこう指摘する。

「物価上昇、人手不足、人件費高騰が続くなか、新しい生活様式の浸透で業界によってはコロナ禍と変わらない厳しさが続くでしょう。今後さらに企業間での明暗がはっきり出てくると思います」

 先行きの企業環境は、まさに不透明といえる。

(ジャーナリスト・木野活明)

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