“ポスト米倉”は誰? 「北川景子」「広瀬すず」がしのぎを削る“視聴率女王”争い

天海(あまみ)が搗(つ)き、米倉こねし天下餅、座りしままに食うは……。近年では、天海祐希から米倉涼子へと受け継がれた視聴率女王の「玉座」。御代替わりが近付く今、この座を巡る世代交代の戦いの火蓋が再び切られようとしている。群雄割拠の「女優戦国時代」、春の陣開戦。

 人類史上例を見ない超少子高齢社会、すなわち人口減社会に突入し、人手不足の危機に直面しているニッポン。どの業界も人材難に喘(あえ)いでいる。その結果とでも言うべきか、そこかしこに「1強」現象が起きている。

 政界、そしてテレビドラマ業界における女優。言わずもがな、前者では安倍晋三総理が我が世の春を謳歌し、後者では米倉涼子(43)が視聴率女王に君臨している。彼らを脅かす強力なライバルが見当たらないというのが共通点だ。しかし、異なる点もある。安倍総理がその座を譲る“隙”を見せていないのに対し、米倉は暫(しば)しその席を空ける“余裕”を見せていることだ。

「『ドクターX』に続いて『リーガルV』でも高視聴率を叩きだし、女王の座を恣(ほしいまま)にしている米倉ですが、今夏、ミュージカル『シカゴ』出演のため渡米し、その後も日本で凱旋公演を行って舞台に専念します。つまり彼女は、ドラマの世界を“留守”にするんです」(芸能関係者)

 鬼の居ぬ間に何とやら。女王不在の間隙を突き、「ポスト米倉」を窺(うかが)う女優陣の戦国絵巻を繙(ひもと)くと――。

「ドラマの制作スタッフからよく聞くのは北川景子の名前です」

 と、スポーツ紙の芸能デスクは北川を一押しする。

「彼女は現在放送中の『家売るオンナの逆襲』(日テレ系)で主演を務めていて、平均視聴率は2桁台をキープ。キレイだけれど男性に媚(こ)びている感じがなく、クールさが女性にも受ける。そのためDAIGOと結婚しても好感度が下がらず、数字を取れているわけです。しかし、本人が妊活を望んでいて事務所も悩んでいるそうです。彼女も32歳ですからね」

 いくら人気があっても露出できないとなると、女王の座を奪い取るのはなかなか容易ではなさそうだ。

 仮に、米倉に続いて北川もドラマ業を「休業」するのであれば、春ドラマに出演する女優が米倉の後釜を狙う最有力候補となろう。

 まずは、朱野帰子(あけのかえるこ)著『わたし、定時で帰ります。』(新潮文庫)が原作の同名ドラマ(TBS系)のヒロインである吉高由里子(30)。

「昨年主演した『正義のセ』(日テレ系)が平均視聴率9・8%を記録。彼女は10%前後の数字を持っていると言えるでしょう。ネックなのは恋多き女優で、破局のたびに精神状態が乱れると言われていて、継続的にドラマの予定を入れられず“寡作”であることです。今度のドラマで、何とか13%くらいの平均視聴率を取れればワンステップ上がったことになり、ポスト米倉に近付ける。今作が試金石ですね」(同)

50代の逆襲も

 続いては、4月から始まるNHKの朝ドラ「なつぞら」主演の広瀬すず(20)。

「朝ドラ100作目ということで、NHKはかなり気合いを入れていて、『あまちゃん』のような社会現象に発展させることを狙っています。広瀬にとっても、主演を務めた昨年の『anone』(日テレ系)が平均視聴率6・1%で大コケしたので、『なつぞら』は起死回生を図るドラマとなる。戦争で両親を失った役ですが、“古き良き時代の女性”を演じられるか、それとも見た目そのままに現代っ子と映ってしまうか。広瀬の女優人生がかかっていると言っても過言ではないと思います」(同)

 また、大河ドラマ「いだてん」に出演中の綾瀬はるか(33)も「領地」の拡大を続けている。

「昨年彼女が主演した『義母と娘のブルース』(TBS系)が評価されています。初回11・5%だった視聴率が最終回は19・2%に。“ドラマ不況”のこの時代に、右肩上がりで有終の美を飾ったのは快挙です。シリアス、コミカル、両方の役柄をこなせ、普段の“天然さ”が嫌味を感じさせず、嫌われない。各局のドラマ班が綾瀬を欲しがっています」(民放関係者)

 この他にも、ベネチア国際映画祭での新人賞受賞歴を誇り、演技力に定評のある二階堂ふみ(24)も、4月から「ストロベリーナイト・サーガ」(フジ系)で連ドラ初主演を果たす。

「ジャニーズの亀梨和也とのW主演で、数字も伸びるかもしれません」(同)

 20代、30代の顔ぶれが「新女王合戦」に参戦する一方、「旧世代」の巻き返しにも注目だという。米倉の前の女王と言えば天海祐希(51)。最近、彼女はドラマでは目立っていないものの、今秋公開の映画「最高の人生の見つけ方」では、天下の吉永小百合と共演し、変わらぬ存在感を放っている。

「天海と同い年の原田知世も、4月スタートの『あなたの番です』(日テレ系)で主演し、1歳上の鈴木保奈美も昨年、月9で織田裕二と27年ぶりの共演を果たしている。54歳の山口智子も『なつぞら』で31年ぶりに朝ドラに出演します。50代の逆襲も期待されるところです」(前出芸能デスク)

 こうして年齢問わず、いずれも華やかな女優たちがポスト米倉と目されるなか、

「『米倉の後釜』と考えると、そもそもあまりピンとこないんですが……」

 とした上で、ライターの吉田潮氏は戦国絵巻をこう読み解く。

「米倉は上から目線の役柄で視聴率を取ってきました。今、このヒロイン像自体が飽きられていると思うんです。彼女が演じてきた医者や元弁護士は人生の勝ち組。喩(たと)えるなら、生卵を床に落として割ってしまっても、そのまま捨てて気にしない感じのキャラクターです。でも庶民は、落とした生卵を何とか掬(すく)い、焼いてでも食べようとするもの。こうした一般のおばさんが主人公のドラマがない。そんなおばさん役を演じられる女優が私のオシです」

 具体的には、3月末に始まる「絶叫」(WOWOWプライム)主演の尾野真千子(37)、現在放送中の『絶対正義』(フジ系)のヒロインである山口紗弥加(39)、そして引っ張りだこの吉田羊(よう)と、脇役から積み上げてきた女優の名を挙げる。

「生卵を掬っても板につく、等身大の女性を演じられる女優が新視聴率女王になってほしいと思います」(同)

 決定打に欠ける感のある、人材難時代の米倉後継戦争。制するのは「新世代女優」か、「旧世代女優」か、はたまた「生卵女優」か――。

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