ポテチショックは商機 ジャガイモ産地拡大へ 加工用人気、契約価格は上昇

九州での増産も

 ジャガイモ不足による一部ポテトチップスの販売終了・休止が広がる中、メーカー各社は主要産地の北海道以外で、原料の加工用ジャガイモ生産の拡大を進めている。近年、加工用ジャガイモは生産量が急伸する「成長産業」(山本有二農相)。九州での増産も見込まれ、幅広い世代に人気のポテチ不足解消に一役買いそうだ。

「ジャガイモ不足の中期的対策として、加工用の産地の新規開拓をしたい」

カルビーの伊藤秀二社長は12日の決算会見で、九州や東北などでの産地開拓に強い意欲を示した。昨夏の北海道への相次ぐ台風上陸など、異常気象による不作のリスクを分散させるのが主な狙いだ。

「消費者の国産志向が強い」

 九州では既に宮崎県や鹿児島県などでコメの裏作として生産しており、規模の拡大を図る。水田を活用することで、水に弱い病害虫の被害を少なくするメリットもある。

生食用も含めたジャガイモ全体の生産量は、約8割が北海道産。農家の高齢化などで、2015年の全国生産量は241万トンと05年比で1割以上減少した。農林水産省によると昨年の北海道の不作を受け、米国産の輸入が増えているが「消費者の国産志向が強い」という。

「国内農産物では珍しく需要が増えている有望株」

 一方でポテトチップス向け加工用ジャガイモは2割以上増加し約40万トン。糖分が少なく、揚げるときれいなきつね色が出るのが特徴だという。不足傾向の中、メーカーと農家の契約価格は上昇しており「国内農産物では珍しく需要が増えている有望株」(同省)だ。

ジャガイモやポテトチップスの品薄感は、九州産が市場に出始める5月下旬から徐々に下がり、順調に行けば北海道産が出回る8月には解消する見通し。

カルビーの松本晃会長は「(販売休止・終了による)消費者のポテチ離れは100パーセントない。おいしいからだ」と強気の姿勢。15年のポテトチップス出荷量は13万トン超と、05年から約4割増えた。多様な味わいを打ち出す戦略が奏功しているとみられ、山本氏も「香港では日本のポテトチップスが爆発的な人気だ。政府としても後押ししたい」と意気込んでいる。

=2017/05/16付 西日本新聞朝刊=

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