[サンフランシスコ 2日 ロイター] -米マイクロソフト<MSFT.O>は2日、消費者向けスマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)とタブレット端末のメーカーに対して、基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を無料提供する方針を表明した。
急速に成長するスマホやタブレット端末市場における影響力を拡大してクラウドサービスの「スカイプ」や「オフィス」の個人利用者増加につなげるとともに、この市場で大成功を収めているグーグル<GOOG.O>のOS「アンドロイド」に対抗する狙いがある。
無料提供の対象となるのは、消費者向けにスマホとスクリーンサイズが9インチを下回るタブレットを製造している業者。これまでマイクロソフトは、これらのメーカーからウィンドウズ使用料として5─10ドルを徴収し、メーカーはこのコストを販売価格に転嫁している。
ただマイクロソフトが長年、パソコンで成功してきたこうしたやり方は、スマホやタブレット端末にアンドロイドが瞬く間に採用されたことで通用しなくなった。
昨年販売された全スマホのうちアンドロイド搭載の割合は75%を超え、残りの大半はアップル<AAPL.O>のOSである「iOS」搭載機器。調査会社ガートナーによると、ウィンドウズ搭載のスマホは世界のスマホ市場のわずか3%、同じくウィンドウズ搭載タブレット端末は2%にとどまっている。
一部の消費者向けモバイル機器にウィンドウズを無料提供するというのは、ソフトウエアは有料であるべきだというマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏の哲学に背く。しかし無料のアンドロイドが圧倒的に成功している状況への現実的な対応だというのがアナリストの見方だ。
FBRキャピタル・マーケッツのアナリスト、ダニエル・アイブス氏は「マイクロソフトはモバイルとタブレットの分野で課題に直面しており、成長の針を動かす戦略転換が必要で、今回の措置は適切で論理的な第一歩だ」と述べた。
またマイクロソフトは、アップルの音声認識アシスタント機能「Siri」に対抗した「コルタナ」と呼ぶ同機能を開発したと発表した。