マスク上がり、宿泊料下がる 消費者物価にコロナ影響

新型コロナウイルスの感染拡大の影響が物価にも出てきた。総務省が19日発表した2月の消費者物価指数によると、需要が急増したマスクが前年同月に比べて3.7%上昇した一方、訪日客の減少などで宿泊料は3.1%低下した。経済活動の停滞が続けば、消費者物価全体の伸びは鈍化する公算が大きい。

2月の物価上昇率は値動きの激しい生鮮食品を除く総合で0.6%で前月から0.2ポイント縮んだ。原油安によるエネルギー価格の下落などで伸びが鈍った。総務省は新型コロナについては「全体としては大きな影響が出ているわけではない」との見方を示した。

それでも品目によっては物価が大きく動いている。特に目立つのが観光関連サービスの下落だ。宿泊料は3.1%下がった。中国が1月末から海外団体旅行を禁止し、訪日客が減ったことなどが背景にあるとみられる。

一方、マスクは3.7%上昇した。品薄で価格がつり上がったようだ。ただ物価全体の上昇率への寄与度は0.001ポイント程度にとどまるという。

新型コロナの影響はイベント自粛や渡航制限などの動きが広がった3月以降、さらに色濃く出そうだ。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「物価の押し下げ圧力が強まるだろう」と話す。2月にも3.1%上がるなど物価のけん引役だった外食も、先行きは需要低迷で価格の引き下げを迫られる可能性がある。

タイトルとURLをコピーしました