マスク市場が暴落し始めた。一時期はまったく手に入らない人も多かったマスクだが、今や街中で見かける機会も増えてきた。これまでマスクを売っていなかった雑貨屋をはじめ、露店販売まで出現。これだけ出回れば供給が需要を上回り、価格は下がるばかり。予想されたことではあったが、一体いくらになっているのか、緊急調査してみると――。
ゴールデンウイーク最終日の6日に東京・吉祥寺で調査した。4月26日に訪れた際は1箱50枚入りのマスクの相場が約3500円、つまり1枚約70円だったことは、すでにお伝えしたとおり。
しかし、6日の吉祥寺ではなんと50枚入りで3000円を割っていたのだ。本紙が確認した限り、最安値で50枚2500円。1枚50円にまで下がっていた。先月に3000円以上で売っていた店も2000円台後半に値下げ。50枚入り3800円で売っていた露店はすでに姿を消していた。
吉祥寺の商店街関係者は「吉祥寺で売られているマスクは、本来なら薬局や医療機関などに卸されるはずが、卸値の高騰で買ってもらえなくなったものが出回ってきたものと、店舗のオーナーのつてや知り合いの卸売業者から回ってきたものが多い。価格が下がっているのは卸値が下がったからです」と明かした。
売られているマスクは中国製。試しに購入した限りにおいては、著しく品質が悪いということはなかった。
ネット通販でもマスク価格は下がっている。6日に調べてみると、1枚30円台前半にまで下がっている。50枚なら1500円超で2000円すら下回る。ネット通販でこれだけ下がれば、店売りも価格を下げないと勝負にならない。
マスクの大量販売は吉祥寺だけのことではなく、各地の商店街で出現しているという。ツイッターでは「転売で余った在庫なんじゃないか」「品質が悪いのではないか」と評判が悪い。
それを意識してか「転売品ではありません」と注意書きをして売っている店舗もあった。また、ある店の従業員は「ヨソのは知りませんが、ウチのはちゃんとしたマスクです。違法なんかじゃありませんので、安心して買ってください」と正規品であることを強調。出どころがしっかりしているというのがセールスポイントになっている。
一方で、店舗によっては「国産ですよ」と言いながらパッケージにメード・イン・チャイナと書いてあったこともあり、売っている人もよく分かっていないこともあるようだ。
なぜマスクが流通しだしたかについては、中国での生産体制が整ったとか、転売ヤーが在庫を放出し始めたとか、布マスク2枚を配るアベノマスクの効果だとかいろいろ指摘されている。
もっとも厚生労働省のホームページで、アベノマスクの配布状況を確認すると東京以外で配布が始まったとの広報はない。
そもそも届いていないものが大きな影響を及ぼすことはなさそう。むしろアベノマスクがいらない状況になっている。
これだけマスクがあふれたとなると、もっと安くなりそうだ。