マスク着用しない客の宿泊拒否が可能に…旅館業法改正案の全容判明

 政府が秋の臨時国会への提出を目指す旅館業法改正案の全容が20日、判明した。新型コロナウイルスなど感染症の流行時に、ホテルや旅館を経営する事業者がマスク着用などの感染防止策を客に求め、正当な理由なく拒んだ場合は宿泊を断れるようにする。感染対策に万全を期し、宿泊客に安全・安心を提供する狙いがある。

首相官邸© 読売新聞

 現行法では、事業者は原則、利用者の宿泊を拒んではならないとしており、宿泊客に対して感染防止対策を求める根拠規定はない。政府の改正案では、事業者は感染症の流行時に、宿泊客への感染防止対策に協力するよう要請できると明記した。要請内容は政令で定めるとし、マスク着用、検温、手指消毒などを想定している。障害でマスク着用が困難な場合など、正当な理由がなく応じない場合は、事業者は宿泊を拒める。

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 また事業者が発熱などの症状がある客に、新型コロナなどに感染していないかどうか報告を求められるようにする。正当な理由なく報告要請に応じない場合や、感染が確認された場合も宿泊を拒める。厚生労働省関係者は「現在の感染状況程度でも適用対象となる」としている。

 政府は10月にも新型コロナの水際対策を大幅に緩和し、個人旅行客の入国を解禁する方針だ。海外ではマスクを着用しない人も増えており、事業者と外国人宿泊客の間でトラブルとなるのを防ぐため、政府は改正後の法律などを解説した手引を作成する方針だ。

 過去には事業者がハンセン病の元患者の宿泊を拒否する事案も起きた。政府は差別につながらないよう、改正案では従業員の研修を事業者の努力義務として課すことにしている。

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