マスク販売 路上で続々 仙台中心部 業種さまざま

新型コロナウイルスの感染拡大で品薄状態となったマスクが、仙台市中心部の路上などで販売されている。雑貨や服飾など、取り扱っている業者はさまざま。取引先のつてで仕入れた輸入品が目立つ。一定のニーズが見込めるマスク販売で、市民の外出自粛による本業収入の落ち込みを補填(ほてん)する狙いもある。

 市中心部に買い物客などが戻り始めた今月中旬、JR仙台駅近くのアーケード街に、通行人の注目を集める一角があった。かばん店の店先にマスクが積まれ、買い物客が足を止めた。
 店頭でマスクを見ていた青葉区の無職女性(75)は「少し前まではどこにも売っていなかったのに、どうして急に取扱店が増えたのか」と首をかしげる。
 この店は中国の取引先の仲介などで現地工場からマスクを調達し、4月中旬に取り扱いを始めた。販売価格は1箱50枚入りで2990円(14日現在)。当初は4900円の設定だった。一時は1日140~160箱、最近でも40箱程度が売れるという。
 コロナ禍で店の客足が遠のき、3月の売り上げは前年同月比で約6割減った。国の支援だけでは必要経費にも足りないといい、男性マネジャー(38)は「バイトを雇っているので、何とか売り上げを保たないといけない」と話す。
 当初は仕入れ値が1枚当たり70円と高く、販売価格を引き上げても利益を確保するのは難しかった。その後、仕入れ値は下がったものの、今でも原価率は8割を超える。「正直ぎりぎり」。マネジャーはこぼす。
 市内のアパレル業者も4月下旬~5月上旬、青葉区一番町の商店街でマスクを売った。許可をもらって休業中の店舗前にテーブルを置き、客に対応した。東京都内の取引先が中国から調達した商品をたまたま仕入れ、街頭販売に取り組んだという。
 商店街関係者によると、政府が全国に緊急事態宣言を拡大した4月中旬以降、店頭などに一時的にマスクを置く店が目立ち始めた。市中心部の休業店舗が再開するのに伴い、マスク販売は露店を中心に5月中旬ごろから減りつつあるという。

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