地域の農水産物のブランド価値を高めようと、宮城大と理科学計測機器メーカーの日本電子(東京)が共同研究を始めた。同社が開発した質量分析装置を使い、マダコの完全養殖、カキやホタテの品質向上に着手する。
共同研究に使われる質量分析装置「DART-MS」は、水に溶かすなどの前処理なしに、物質を機器にかざすだけで瞬時に組成や性質、構造を測定できる。主に研究や捜査機関で使われている。
宮城大は、分析装置がアミノ酸や脂質などの有機化合物も測定できることに着目し、共同研究を提案。研究対象とするマダコは、幼生期の餌が未解明で完全養殖が難しい。同大はタコの餌に由来する成分を網羅的に解析し、人工飼料の開発を進める。
ホタテやカキ、ホヤなどの養殖水産物も通年で分析し、うまみなど品質に影響する原因を見つけたり、最適な養殖方法や収穫時期を推定したりすることで、品質向上が期待される。
研究期間は2年間。宮城大の川上伸昭学長は「県産品の品質安定と高付加価値化を目指す」、日本電子の大井泉社長は「DARTの食品分野での共同研究は初めて。食の安心安全に貢献したい」と話した。