マネーのトリビア 第11回 日本の"平均貯蓄額"が「1000万円以上」って、ホントにそんなにあるの?

世の中の人っていったいどのくらいお金を貯めているのか、気になりますよね。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2人以上世帯調査)」によると、2010年の一世帯あたりの平均貯蓄額は1,169万円。「ホント?」と疑いたくなるような高い金額です。
○実際には、全体の”約7割”が平均貯蓄額「1,169万円」を下回っている
平均額が実感より高くなってしまうのは、一部のお金持ちが金額を押し上げているから。実際には、全体の約7割が平均値を下回っています。
そこで、貯蓄額の低い世帯から高い世帯へと順に並べたとき、中央に当たる世帯の貯蓄額(中央値)を見てみると、500万円となっています。全体の半分が500万円より多く、残り半分は500万円より少ないということになり、こちらのほうが現実味のある数字に感じられるでしょう。
ただ、貯蓄がゼロという世帯が全体の2割ほどあり、平均額を押し下げています。それを除くと、平均額は1,542万円、中央値は820万円となります。
いずれにしても、すべての年齢層を対象にしたデータなので、若い人にはかけ離れた数字かもしれません。そこで、今度は年代別の金融資産の保有額を見てみましょう。
これなら、より実感に近いはず。
また、若いときは貯蓄が少ないけれど、だんだんお金が貯まっていき、サラリーマンの場合、退職するときにまとまった退職金をもらって貯蓄額がピークとなり、そのあとは、公的年金で不足する生活費などを貯蓄から取り崩していくので、だんだん減っていく、という流れが見てとれます。
○日本の国民は、間接的に国債を保有している
日銀のデータによると、2011年9月末時点で、日本人が保有している金融資産の残高は1,471兆円。金融商品の種類別でみると、現金・預金が56.0%、保険・年金準備金が28.6%で、合計約85%となっています。
銀行や保険会社は、集めた預金や保険料で日本の国債を買っています。日本の国民は、間接的に国債を保有していることになるわけです。
そのため、国が膨大な借金を抱えているにもかかわらず、国債が暴落せずにすんでいるといわれています。
ただ、団塊の世代(1947~49年生まれ)の約800万人が、これから本格的なリタイア生活に入り、貯蓄を取り崩していくと見込まれます。そうなると、平均貯蓄額も金融資産残高も減るでしょう。また、今までのように国債を買い支えられなくなる可能性もあります。そうなったら、現役世代も何らかの影響を受けることは避けられません。
○執筆者プロフィール : 馬養 雅子(まがい まさこ)
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解 初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)など著書多数。

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