マンションの部屋に旅行者を宿泊させる「民泊」の是非が争われた仮処分裁判で、大阪地裁が、マンション管理組合の主張を受け入れる形で部屋の区分所有者に差し止めを命じる決定を出したことがわかった。

民泊を禁じる司法判断が明らかになるのは初めて。

決定は今年1月27日。管理組合の弁護士によると、理由は示されなかったが、所有者側は異議を申し立てなかったという。

同弁護士によると、大阪市内にある100戸超の分譲マンションで、昨年3月頃から特定の2部屋に出入りする外国人が急増。部屋の区分所有者から明確な説明はなかったが、管理組合は民泊を行っている可能性が高いと判断、昨年11月に仮処分を申し立てた。

区分所有法には、全体の利益に反する行為を禁じる規定がある。またこのマンションの管理規約には「専ら住居として利用する」との条項があった。

仮処分の審理で、管理組合側は「玄関はオートロックなのに、宿泊者が自由に出入りしている」と安全上の問題を指摘。「宿泊者が廊下やエレベーターで大声を出して騒ぐこともあった」と訴え、「民泊は、区分所有者全体の共同の利益に反する」と主張した。

一方、所有者側は、民泊の実施を認めたうえで「こちらが認めた人が出入りしており、安全面に影響はない」と反論していた。