これからの季節が旬のミカン。ついつい食べ過ぎてしまう人も思いのではないでしょうか。あまり知られていませんが、ミカンをはじめとする柑橘類の食べ過ぎで起こりやすいのが「柑皮(かんぴ)症」という病気です。知らず知らずのうちに、柑皮症になっている人もいるかもしれませんよ。
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黄疸と間違いやすい?柑皮症ってどんな病気?
「柑皮症」という病名を聞いたことがない人は多いかもしれません。しかし、ミカンや柑橘類を食べ過ぎて「手が黄色くなった」とか「足の裏が黄色くなった」という話は耳にしたり、実際に体験したりした人は少なくないと思います。実は、この黄色くなるという症状が「柑皮症」の大きな特徴です。手のひら、足の裏、頬などが黄色っぽくなりやすいのです。
同じように皮膚が黄色くなる病気に「黄疸(おうだん)」があります。その黄疸と柑皮症の違いは、眼球部分にあります。黄疸の場合は眼球の白目の部分も黄色くなりますが、柑皮症の場合は白目部分は白いままです。
柑皮症の原因、カロテンの摂り過ぎには要注意
原因はカロテン(カロチン)の摂り過ぎです。カロテンは夜盲症や皮膚乾燥症、動脈硬化などを予防する効果があることでも知られていますが、ただし、摂り過ぎると柑皮症になる危険性があります。
色素であるカロテンの過剰な摂取で、皮膚に色素が沈着して、黄色くなるのです。また、カロテンは脂に溶けやすいので、高脂血症の人は柑皮症になりやすいともいわれています。十分注意してください。
そのカロテンはミカンなど柑橘類に多く含まれています。そのため、柑皮症はこれまで、ミカンを多く食べる冬季に発症することが多かったといえます。しかし、近年は健康志向で、カロテンを多く含むニンジンジュースや野菜ジュースなどを飲む人が増え、そのため、季節を問わず柑皮症になる人が増えているといいます。
カロテンは柑橘系やニンジンなどの食品以外にもカボチャ、ほうれん草、マンゴー、とうもろこし、スイカ、トマトなどにも多く含まれています。実は、海苔にもカロテンが多く含まれているため、海苔の食べ過ぎで柑皮症になる人もいます。
柑皮症の治療法は簡単?
柑皮症になったからといって、特別な治療の必要はありません。なぜならば、カロテンの摂取のし過ぎで引き起こされているので、その摂取量を減らせば、自然に皮膚の色は戻ります。ただし、皮膚の色が戻るのに、数カ月かかる人もいますので、普段からカロテンの摂り過ぎには気をつけたいものですね。
冬はミカンのおいしい季節ですが、ミカン好きの人は、ほどほどに。
◆尾原 徹司 東京医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センターを経て、神戸鐘紡病院消化器科に赴任。昭和57(1982)年に独立し、医療法人社団つかさ会「尾原病院」(神戸市須磨区妙法寺荒打/神戸市営地下鉄西神山手線妙法寺駅徒歩3分)院長に。