ミニストップ「木造店舗」 コスト1割、CO2は33%削減

 コンビニエンスストア業界で、環境配慮型店舗の出店が相次いでいる。太陽光発電システムやLED(発光ダイオード)照明など最新の省エネ設備を導入する動きが盛んだが、業界で唯一、森林保全に貢献する認証国産木材を使った木造店舗づくりを進めているのが、イオングループのミニストップだ。従来の鉄骨造りに比べて建築コストを1割削減でき、二酸化炭素(CO2)排出量を33%削減できるという。まだ5店舗と少ないが、ミニストップは「日本政府が進めるCO2を森林で吸収する取り組みに貢献できる」と、順次店舗数を増やしていく考えだ。
 ◆FSCマークの木材使用
 ミニストップが建築木材として採用するのは、国際NGO(非政府機関)のFSC(フォレスト・スチュワードシップ・カウンシル=森林管理協議会)の認証マークが付いた木材。FSCは、適正に管理された森林から産出した木材などに「FSCマーク」と呼ばれる認証マークを付け、持続可能な森林の利用、保護を図っている。
 間伐によって適正に整備された森林は、残された樹木の生長を促し、多くのCO2を吸収するほか、森林の生態系維持や山崩れなど山地災害の防止など多くのメリットをもたらす。ミニストップによると、FSCマークが入った木材を使用することで、環境悪化を招く違法伐採の木材を避け、適切に管理されている森づくりに貢献できるという。
 従来工法に比べてトータルのCO2排出を削減できるのも魅力だ。資源採取から生産・建設までの過程で発生するCO2は、鉄骨造りが1店舗当たり105.5キログラムなのに対し、木材は72.2キログラムと33%も抑えられるという。しかも、使用する木材は工場でプレカットしてキット化されたもので、接合部に金物を使用することで分解、再利用も可能だ。
 ◆全国展開には課題も
 FSC認証材を使った1号店舗は、2009年7月に開設した「春日部藤の花店」(埼玉県春日部市)。同12月にオープンした2号店「越谷レイクタウン東店」(同越谷市)は森林管理、製造、加工、輸送、現場施工のすべての過程で認証取得業者を使い、建物としてFSC認証を取得した。
 同社が木造建築に取り組むきっかけになったのは、08年に起きた鉄骨材の相場高騰だ。建設施設部の高橋善彦企画担当は「鉄骨材の価格上昇の影響で建築コストが2割もアップしてしまい、比較的価格の安定している木材に着目した」と振り返る。その際にFSC認証材の存在を知り、環境保全の観点から採用に踏み切ったという。
 もくろみ通り建築コストは鉄骨造りに比べ1割安くなり、環境保全も図れて「一石二鳥」の効果を生み出している。
 日本は温室効果ガス排出を抑制するための京都議定書で、08~12年に達成すべき削減目標値6%(1990年比)のうち3.8%を国内の森林のCO2吸収で確保することを打ち出している。ミニストップはFSC認証材の採用は「こうした方針にも沿う」(高橋企画担当)として、店舗数の増加を目指す。
 ただ、建物としてFSC認証を取得するには、すべての過程で認証取得業者を使う必要があり、現在のところ全国展開には難がある。さらに、店舗物件を保有する家主の理解が得られないと建築に踏み切れない問題もある。高橋企画担当はこうした問題を一つ一つクリアしていきたい」と話している。(小熊敦郎)

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