ミンククジラ漁で共同操業 宮城・和歌山3事業者、商業捕鯨効率化

商業捕鯨の沿岸ミンククジラ漁に当たる宮城県石巻市などの3捕鯨事業者が水揚げや解体、流通面で連携する共同操業に乗り出した。海上での情報共有や販路の一本化で捕獲効率と採算性を向上させるのが狙い。2019年7月の商業捕鯨再開後初めてとなる捕獲枠上限の水揚げを目指す。

昨季の漁で鮎川港に水揚げされたミンククジラ。今季は3事業者が共同操業に当たっている=2021年4月、石巻市

 協業するのは鮎川捕鯨と外房捕鯨鮎川事業所(ともに石巻市)、和歌山県太地町漁協。クジラの探索や捕獲をはじめ、水揚げや解体といった作業に合同で取り組む。

 流通・販売は調査捕鯨時代と同様、沿岸捕鯨業者でつくる日本小型捕鯨協会(福岡市)が担い、梱包資材や運送トラックを一括手配してもらうことでコスト削減を図る。

 石巻市鮎川浜を拠点とする商業捕鯨のミンク漁が32年ぶりに再開された20年4月から各事業者は個別で操業した。捕獲頭数は20年が95頭、21年が91頭とその年の捕獲枠にそれぞれ5頭、29頭届かなかった。漁の効率化を重視して今季から方針を変更した。

 鮎川捕鯨の伊藤信之社長は「調査捕鯨時代も同様の手法で共同操業していたので現場での連携は申し分ないだろう。まずは捕獲枠いっぱい捕り切ることを目指したい」と期待する。

 今季のミンク漁は4月3日に仙台湾で始まり、21日からは八戸沖で続く。今月1日までにむつ市大畑沖や八戸沖で計3頭を水揚げした。釧路沖などを北上して秋ごろまで操業する。

 3事業者の団長を務める外房捕鯨鮎川事業所の大壁孝之所長は「商業捕鯨は再開まで30年以上空き、クジラの動きや流通経路に変化がある。事業を軌道に乗せるため試行錯誤を続けたい」と話す。

 水産庁は今季のミンククジラの漁獲可能量(TAC)の配分を4月14日付で変更し、漁獲可能数を133頭とした。

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