ムーディーズ、日本国債を「A1」に1段階格下げ 見通し安定的

米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは1日、日本の長期国債の格付けを「Aa3(ダブルAマイナスに相当)」から「A1(シングルAプラス)」へ1段階引き下げたと発表した。財政赤字削減目標の達成可能性に不確実性が高まったほか、デフレ圧力の下で成長戦略のタイミングと有効性に対する不確実性が高まったと判断した。ムーディーズによる日本国債の格下げは2011年8月以来、3年4カ月ぶり。シングルAプラス格は英米系のフィッチ・レーティングスと並び、大手3社による日本国債の格付けとして最低水準となる。
 ムーディーズは安倍晋三首相が15年10月に予定していた消費再増税を見送ると表明したことなどを受け、「政府が中期的な財政赤字の削減目標を達成できるか否か、および債務の増大傾向を安定化」させることができるかどうかなどに不確実性が高まったと指摘。「短期的には、財政赤字削減のための主要な政策が安倍首相の経済戦略である経済再生を揺るがしている」と指摘した。
 中期的な格付けの方向性を示す格付け見通し(アウトルック)は「安定的」とした。大幅な財政再建や経済成長の回復を「上方リスク」とする一方、デフレ圧力の高まりや景気の勢いの喪失といった「下方リスク」を反映したとしている。
 フィッチはすでに12年5月22日に「ダブルAマイナス」から「シングルAプラス」に格下げしている。フィッチは今回の安倍首相の消費再増税の先送り表明を受け、今年11月18日に日本国債の格付けを年内に再点検すると発表している。
 米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はムーディーズ、フィッチよりも1段階高い「ダブルAマイナス」としている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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