モダンな姿で次代へ 仙台「二十三夜堂」賢聖院 納骨堂新設、窓越し参拝も

午(うま)年生まれの守り本尊「勢至菩薩(せいしぼさつ)」を祭り、二十三夜堂の名で親しまれる仙台市青葉区北目町の天台宗の寺院「賢聖(けんじょう)院」が、築120年余りの本堂などを建て替え、室内型の墓「室内納骨堂」を新たに設けた。仏教寺院のイメージから離れた現代的な内外観で建物内に本堂がある。寺や弔いの在り方を巡る環境変化を受け、変革に踏み切った。

賢聖院の新しい建物。写真右手の南側の窓から本尊の勢至菩薩像を参拝できる

 8月27日にオープンした室内納骨堂は約655平方メートルの敷地に立つ。鉄筋コンクリート平屋で床面積は約185平方メートル。遺骨600柱を収容できる納骨堂と、お参りの際に故人の写真を映し出すことができるデジタル祭壇3基、休憩スペースを備える。少人数の葬儀や会食も可能という。

 本堂の広さは約6畳で、以前の約4・5畳より広い。また、縁日の23日のみ開帳していた勢至菩薩像を、窓越しにいつでも参拝できるようにした。開館時は本堂に入ったり、お守りを購入したりできる。

 室内納骨堂の設置について、四釜亮順住職(43)は「寺の維持が厳しさを増す中、市中心部という立地を生かし、令和の時代に合わせた工夫で役に立ちたいと考えた」と話す。

 宗教離れや少子高齢化などで減少傾向にあった参拝客は、新型コロナウイルス禍でさらに減った。家族葬が増え、葬儀自体行わないケースもある。室内納骨堂は東京などで増えており、設置を求める声が一部の信者から寄せられていた。

建て替え前の本堂(2012年撮影)

 賢聖院には檀家(だんか)や敷地内の墓地はない。老朽化し傾くなど危険な状態だった旧本堂の建て替えを前に、四釜住職と父で先代の亮澄さん(72)が納骨堂の併設を決め、2月の解体前に地域住民らにも説明した。

 新本堂の工費は、宮大工による伝統建築の半分以下に収まった。荘厳さはないが「シンプルで時代に合っていていい」(北目町の72歳女性)など好意的な声は少なくない。一方で寺らしさが薄れ「寂しい」と言う人もおり「丁寧に説明して理解を得たい」と四釜住職は語る。毎年恒例の7月の祭りは続ける予定という。

 室内納骨堂は「メモワール仙台五橋」の名で墓所管理などを手がけるメモワール石材(利府町)に運営を委託している。開館時間は午前10時~午後4時。連絡先は022(290)1357。

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