コールセンターの運営会社の元代表でモナコ公国に住む日本人男性(56)が、同社が買収された際に個人として得た所得約33億円を税務申告しなかったとして、関東信越国税局から無申告加算税を含め約6億2千万円の追徴課税を受けていたことが関係者への取材でわかった。個人で30億円超の所得税の無申告が明らかになるのは異例。
コールセンター運営会社は「日本トータルテレマーケティング(NTM)」で、2018年に博報堂グループの「博報堂プロダクツ」に子会社化された。
関係者によると、子会社化の際、NTMの当時の代表で大株主だった男性が、事前にほぼ全ての株式を買い集めて約50億円で博報堂側に売却。これにより、株の購入費などを差し引いた約33億円の譲渡所得を得たが、税務申告していなかったという。
男性は10年ほど前にモナコ公国に移住したが、日本の所得税法上、居住地にかかわらず国内資産の譲渡益は課税対象となる。モナコは地中海沿岸の面積約2平方キロの都市国家で、所得税がなく、富裕層のリゾート地として知られる。朝日新聞は男性に取材を申し込んだが、回答はなかった。(花野雄太)