ラジオCMのオンライン運用開始

2014年からの検討が実現 運用開始の経緯とシステム

ラジオCMのオンライン運用が4月から開始された。新たに構築されたオンライン送稿システムにより確実なCM運行が実現するとともに、物理的な素材搬入がなくなることで、時間短縮や効率的な運用の実現が期待される。ただ、当面の間は従来のMOディスクによる素材搬入も並行して運用される。

従来のCM素材搬入メディアである3.5インチMOディスクは来年3月に販売が中止される。また、MO機器のメーカーサポートは既に終了していることから、代替手段の検討が急がれていた。

日本民間放送連盟(民放連)のラジオ委員会は2014年からオンライン運用の開始に向けた検討を開始。2014年9月からは日本広告業協会(業協)のラジオ小委員会と連携して検討を重ねてきた。

オンライン運用の開始に伴い、民放連と業協は昨年4月にはCM運行表での指示系統用語を中心に用語の統一を図ったほか、今年3月には「ラジオCM素材搬入基準」を改訂、4月1日から適用した。

同搬入基準は、ラジオCMの搬入手段として、オンライン送稿システムとMOディスクを併記。搬入可能なCM素材の音声ファイルは、BWF-Jファイルフォーマット形式にCM固有の情報を付加したBWF-J(CM拡張仕様版)のみとすることなどを定めている。CM素材の搬入締切日は、放送日の4日目(中3営業日。年末年始、GWなどは別に定める)としており、これまでと変更ない。

オンライン運用の開始に伴い、ラジオCMでも素材識別のために共通コード(10桁CMコード)の運用を新たに開始した。具体的には、テレビCMと同様、共通コード管理センターの発番する広告事業者を識別する4桁コード(事業者コード)とラジオCMオンライン送稿システムで自動発番する6桁コードを合わせて運用する。

同ラジオCMオンライン送稿システムは、広告EDIセンターが業協からの要請により事業主体となり、新たに「Radi Pos」という名称で構築された。

運用にあたっては、広告会社、放送局、CM制作会社はまず同システムの利用登録を行う。制作されたラジオCM素材は、全てこの「Radi Pos」のサーバーにアップロードされ、共通コードにより一括で管理される。ラジオ局は、「Radi Pos」から素材をダウンロードしてオンエアする。

テスト運用を重ねラジオ各局が迅速に問題対応済み

各ラジオ局は、今年2~3月にかけてテスト運用を重ね、テストで出た問題点などをオンライン送稿システムの改修に反映させた。

4月からの運用開始前の3月末までに民放ラジオ全局は「Radi Pos」の利用登録を完了している。テレビCMと違い、オンライン送稿システムへの対応は、大幅なシステム改修の必要がないため各社の対応も迅速だったようだ。

過去の6mmテープからMOディスクへの素材移行の際と同様、オンライン運用開始後もMOディスクによる素材搬入は並行して継続運用される。ラジオ局側の対応が整っても、全国の全ての広告会社、CM制作会社の体制が一律に整うわけではないからだ。並行期間は「当面の間」としており、具体的な終了時期は決まっていない。

ただ、来年3月にはMOの販売が終了してしまうため、できるだけ早くオンライン運用に一元化することが望まれる。今後、民放連、業協など関係団体が中心となり普及の推進を働きかけていく予定だ。

テレビのオンライン運用は10月より50局以上で受け入れ可能の見込み

一方、テレビCMも今年10月をめどにオンライン運用が開始される予定だ。

ラジオと異なり、システム改修の必要があることから、当初は東名阪およびマスター更新時期が重なるなどの一部の社で受け入れを開始。来年度には50局以上で受け入れ可能となる見込みだ。

今年4月には参入予定の素材搬入事業者の説明会が開催されたほか、今年7月からは運用テストが開始予定など準備は着々と進んでいる。10月の運用開始に向けて注視したい。

文・明石庸司

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