ラッピングバス台数減速 ピーク時の半分に 仙台

仙台市内で、車体を広告で覆った市バスを見掛ける機会が、少なくなった。市交通局によると、ラッピングバスの台数はピーク時に比べ半減し、広告収入も半分近くまで落ち込んでいる。背景にあるのは、企業のニーズと広告を取り巻く環境の変化。減少に歯止めをかけようと、市は異例の割引キャンペーンを展開している。
 市バスの台数は近年、500台前後で推移。車両全体を広告で包んだフルラッピングバスの台数は、2001年度の96台が最多だった。その後、車体の一部に広告を貼る廉価版のハーフラッピングを導入し、両方を合わせた台数は08年度、フル87台、ハーフ22台の計109台に達した。
 しかし、08年9月のリーマンショック後、生命保険会社が10台の契約を打ち切るなど、ラッピングバス離れが加速した。現在ではフル54台、ハーフ0台まで減ってしまった。
 広告収入もフルラッピングが最も多かった01年度の9724万円をピークに減少に転じ、12年度は5588万円にとどまった。
 不振の一因に挙げられるのが広告費用だ。年間の契約料は1台126万円で、数千円~数万円の車内広告に比べて高額。初めて導入する際は、ほかに施工費約100万円が必要になる。古くなったフィルムを交換する費用も企業負担だ。
 長期契約が主流のため、新商品の集中的なアピールや入れ替えのある商品の広告には不向き。費用負担とPR効果をはかりに掛け、二の足を踏む企業が多いとみられる。
 ラッピングバスは市バスの広告収入の4割近くを占める。台数回復を目指し、市は12年度から、初期費用の25万2000円を割り引くサービスに乗り出した。フル、ハーフ合わせた新規の契約は11年の4台から、12年度は10台に増加。13年度はこれまでに9台の広告を新たに獲得した。
 最近は学校、病院のように公共性の高い業種が目立つ。市交通局経営企画課の佐々木政道係長は「ラッピングバスは長い間、多くの人の目に触れるため、企業の知名度アップを図ったり、ブランドイメージを訴えたりすることができる。魅力をもっと発信していきたい」と意気込む。

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