複雑な動きのあるバドミントンは、単純運動のランニングよりも脳の認知機能を向上させるとする研究成果を東北学院大の高橋信二教授(スポーツ科学)らが今月上旬、米科学誌に発表した。より効果的な運動プログラム作りに役立つという。
運動は、脳の血流量を増やして認知機能を向上させる。ランニングなど中程度の有酸素運動は、筋肉トレーニングよりも認知機能向上に役立つことが知られている。相手の位置を把握して効果的なショットを打つバドミントンのような複雑な運動が認知機能に与える影響は、十分検討されていなかった。
研究チームは学生20人を対象に、全員にバドミントン、ランニング、安静に座った状態をしてもらい、前後の認知機能を比べた。
色で塗られた印を見て、色だけを識別するテストでは、運動による認知機能の差はなかった。一方、赤インクで書かれた「あお」の色名(赤)を答えるような判断が必要なテストでは、バドミントンだけが運動前後で成績が向上した。
高橋教授は「高次の認知能力と、複雑な運動に求められる脳領域が同じ可能性がある。複雑な運動が脳のどの領域を活性化させるのか調べたい」と話す。