自治医科大学に所属する研究者らが2019年に発表した論文「Ramen restaurant prevalence is associated with stroke mortality in Japan: an ecological study」は、日本の各地域における脳卒中死亡率とラーメン店の普及率に相関があることを示した研究報告である。
脳卒中死亡率とラーメン店の普及率に強い相関 自治医科大学の研究
全国47都道府県のデータを用いて、さまざまな種類の飲食店の普及率と脳卒中死亡率の関連を調査した。対象としたのは、ラーメン店、ファストフード店、フランス・イタリア料理店、うどん・そば店である。研究チームは、各都道府県の人口当たりの各種飲食店数と、年齢・性別で調整した脳卒中死亡率および急性心筋梗塞死亡率との相関を分析した。
分析の結果、ラーメン店の普及率のみが、男女ともに脳卒中死亡率と強い正の相関を示した。具体的には、男性で相関係数r=0.594、女性でr=0.625という有意な相関性が見られた。一方、他の種類の飲食店の普及率と脳卒中死亡率との間には有意な相関は見られなかった。また、いずれの飲食店の普及率も急性心筋梗塞死亡率とは相関を示さなかった。
地域別に見ると、東北地方(特に日本海側)、北関東、南九州で脳卒中死亡率が高く、近畿地方と南関東で低いという傾向が明らかになった。この分布はラーメン店の普及率とほぼ一致していた。
この結果は、ラーメンの特徴である高炭水化物、高塩分、高温が脳卒中リスクを高める可能性を示唆している。しかし、この研究はあくまでラーメン店の普及率との相関を示すものであり、ラーメンの摂取量と脳卒中リスクの直接的な因果関係を証明するものではない。また、家庭で調理される即席ラーメンの消費や、ギョーザやチャーハンなどのサイドメニューの影響は考慮されていない点に注意が必要である。