リンゴの自販機拡大中 オフィスの朝食や行楽に

 カットされたリンゴの自動販売機が全国で広がりつつある。神戸市東灘区の青果専門商社「エム・ヴイ・エム商事」が2011年に全国で初めて開発。ビタミンCを活用した保存技術で、新鮮な味が手軽に楽しめる。阪急梅田駅や近鉄大阪難波駅、東京の地下鉄などにあり、オフィスでの朝食や行楽のお供に人気という。(土井秀人)
 同社がカットリンゴを扱い始めたのは07年。石田希世士(きよし)社長(49)が米国で広まった保存技術を取引先から紹介されたのがきっかけだった。ビタミンCなどが入った水に漬けることで、酸化して黒っぽくなるのを防ぐことができ、味も変わらないという。
 給食やホテルなど業務用や、コンビニに納入。幅広くアピールする方法を思案していたところ、バナナの自販機の存在を知り思い立った。
 自販機にはカットしたリンゴ半個分約80グラムが袋詰めされており、皮なし(関西で190円)のほか、皮付き(同額)、ハチミツソース付き(240円)など4種類を販売。旬に応じて品種は変わり、季節限定でナシもある。商品はこまめに入れ替えて鮮度を保つ。
 11年1月、第1号を東京メトロの霞ケ関駅に設置。現在、近鉄上本町駅や名神高速道路多賀サービスエリア(滋賀県)など15カ所にある。
 同社によると、出勤前に買ってかばんに入れる人や、沿線に観光地が多い阪急電鉄京都線では車内で食べる人も。1日40~50個売れ、今年も5~6台を増設する予定。
 石田社長は「健康志向を反映し、人気を呼んでいるようだ。将来はリンゴ以外の果物を増やし、フルーツスタンドとして進化できたら」と話す。

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