米国が日本の増税路線にまた強い警告を発した。ルー財務長官が声明の中で、日本の景気低迷が続く恐れがあると指摘したうえで、政策当局者に「財政再建のペースを注意深く調整する必要がある」と求めた。来年10月の消費税率10%への再増税を再考するよう事実上求めた形だ。
ルー財務長官は国際通貨基金(IMF)の諮問機関である国際通貨金融委員会(IMFC)での声明で日本経済に言及、「今年と来年は低迷が続く」とした。「日本はデフレと低成長という2つの課題に直面してきたが、さらに津波や原発事故という外的ショックも受けた」としたうえで、「日銀の金融政策はデフレ脱却と経済成長を支えている。しかしながら、政策当局者は財政再建のペースを慎重に調整し、成長を加速させるような構造改革が求められる」と結論づけた。
財政再建のペースとは、消費増税を意味することは明らかだ。4月に8%に引き上げたが、来年10月から10%への再増税も予定されている。1つの内閣で2回増税というハイペースに警鐘を鳴らしたと解釈できる。
ルー財務長官は9月にも消費増税後の日本の成長鈍化について「期待外れ」とダメ出ししていた。今回の声明で再増税の回避を検討するよう念を押した形だ。
IMFCの声明でも、消費税増税で落ち込む日本の成長は「緩やか」としたうえで、各国の財政政策について「成長と雇用創出を支援するために、国内総生産(GDP)比で持続可能な範囲で柔軟に実行すべきだ」と提言している。
こうしてみても、「消費増税は国際公約」という文言にこだわって再増税を強行することが世界経済に及ぼすリスクは計り知れない。「外圧」があろうとなかろうと、再増税する大義名分がもはや失われているのは確かだ。