新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と北海道大学の研究グループは29日、レアアース(希土類)を使わない新構造のハイブリッド車(HV)向け磁石モーターの開発に成功したと発表した。モーター内で強い電磁力を発生させ、それを逃がさない構造にして高出力を実現した。国内メーカーから打診があれば協力して実用化を目指す。
尖閣事件を契機に中国からの輸出が停滞し、レアアースの調達問題がクローズアップされる中、注目を集めそうだ。電気自動車(EV)にも応用可能で、次世代エコカーの開発競争で日本の新たな“武器”となる可能性もある。
HVやEVのモーターは、レアアースを使うことで高出力を実現している。レアアースを使わない高出力モーターはこれまでにもあるが、新開発のモーターは、回転が滑らかなうえ軽量で小さく、車両への搭載に適しているという。
モーターの回転部分を円盤状にするなど独自の構造で、強い電磁力を外に逃がさず、動力として活用することに成功。トヨタ自動車のHV「プリウス」などに使われているモーターと同じ50キロワットの出力を実現した。モーターのサイズも同等という。
現在のHV用モーターは、コストの3~4割をレアアースが占めており、コストを大幅に減らせることも可能としている。会見した北大の竹本真紹準教授は「必要な出力に応じた設計をすれば、EVにも応用できる」と指摘。NEDOの弓取修二・蓄電技術開発室長は「民間企業と連携し、技術を大きく発展させてほしい。必要ならコーディネートをする」と話した。