レアアース使用4割削減 東北大などHVモーター製造で新技術

東北大などの研究グループは27日、ハイブリッド車(HV)のモーターなどに使われるネオジム磁石の製造で、レアアース(希土類)の一種ジスプロシウムの使用量を従来より40%削減する技術開発に成功したと発表した。ジスプロシウムは輸出規制を強める中国からの輸入にほぼ全量を依存しており、次世代自動車の生産増を見込む自動車業界などでの活用が期待される。
 研究は東北大未来科学技術共同研究センター(NICHe)を拠点に行われた。同センターの杉本諭教授や、ネオジム磁石を発明した佐川真人氏が代表を務めるインターメタリックス(京都市)、山形大、トヨタ自動車など8機関が参加した。
 ジスプロシウムは耐熱性を高める効果がある。HVなどのモーターを回転させるネオジム磁石では現在、重量で全体の約10%に相当する量が使われている。
 研究グループは磁石を焼き固める前の合金粉末を従来の5ミクロンから平均1.1ミクロンまで微細化することで、磁石の耐熱性や保磁力を高め、ジスプロシウムの削減を実現。酸化しやすくなる微細化の弱点も製法の工夫で克服した。
 研究は2007年度に着手し、経済産業省や独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援も受けた。
 東北大の基盤技術を基に、製法開発を中心的に進めたインターメタリックスは「量産化に向けた検討を進めながら、ジスプロシウムのさらなる削減も目指す」と話す。
 ネオジム磁石は自動車のほか、パソコンなどのハードディスク駆動装置(HDD)のヘッド駆動用モーター、家電製品などにも使われている。レアアースをめぐっては中国が10年に輸出枠を前年比40%削減。11年も削減傾向は続くとみられ、使用を抑える技術開発が急がれている。

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