百貨店や雑貨店でレインウェアが売れている。といっても「梅雨だから」という理由だけではないらしい。6月1日に施行された改正道路交通法で、傘を差して自転車に乗り人身事故を起こすと「危険行為」に問われる可能性が出たからだ。売り上げが前年の3倍に迫る店もある。
【写真】4万円以上しても機能が高いレインコートを求める人も多い=大阪市中央区の高島屋大阪店
梅田ロフト(大阪市北区)のレイングッズ売り場。レインコートを広げては閉じて、商品を確かめる人の姿が引きも切らない。
「通勤などに自転車を使うので探しに来た」という兵庫県尼崎市の女性会社員(40)は、背負った荷物も雨から守れる、裾が広がったポンチョ型の商品を手に取った。
梅田ロフトは5月中旬から1カ月以上、レインウェア売り場を拡大。ポンチョは約60種類と前年より50種類増やした。レインウェアの6月の売り上げも前年の約2・8倍に達した。
高島屋大阪店(大阪市中央区)では6月の売上高は前年の約1・4倍。ファスナー部分に水が入りにくい高機能品が人気だ。大丸梅田店(大阪市北区)も、約2・3倍になった。
改正道路交通法では、自転車に乗った14歳以上の人が、信号無視などの「危険行為」を繰り返すと有料講習を受けるよう命令される。対象は3年以内に2回以上繰り返した場合。大阪府警によると、危険行為には傘差し運転による人身事故が含まれる可能性があるという。
「傘差しは後ろめたいし、捕まるのも嫌だ」。梅田ロフトでレインウェアを選んでいた尼崎市の会社員女性(45)はきっぱり。大丸梅田店の担当者は「需要は梅雨が終わってもある」と今後の売り上げにも期待を寄せる。(岩沢志気)