レオパレス再生難航…入居率伸び悩み、赤字脱せず

賃貸住宅大手レオパレス21の経営再建の見通しが立たない。

 2022年3月期の最終利益予想は56億円の赤字(前期は236億円の赤字)と、4期連続の最終赤字を見込む。18年に発覚した施工不良問題を機に赤字体質になり、3月末には自己資本が84億円のマイナスと債務超過の状態となった。米投資ファンドの支援をテコに再生を図るが、難航している。

誤算

 レオパレスは昨年9月、米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」から出資と融資で計572億円の支援を受け、債務超過は解消する見込みだと発表した。支援のうち300億円を占める融資には、レオパレス株を1株142円で購入できる「新株予約権」が付いている。株価が上がったところで予約権を行使してもらえば、209億円分の負債が減り、資本に振り替わる見通しだった。

 だが、20日時点で権利は行使されていない。20日終値で1株144円と株価が低迷しているためとみられる。株に転換されず融資のままだと、最大年14・5%と高い金利を払わねばならない。レオパレス関係者は「予約権を早期に行使させる契約にしたかったが、(立場が弱く)そうはできなかった」と話す。フォートレスは6月の株主総会後、取締役会に2人を送り込み、経営に積極関与する方針だ。

修繕工事進まず

 株価が低迷しているのは、主力の「サブリース」事業で入居率が改善していないのが大きな要因だ。入居率は4月時点で80・65%と、損益分岐の目安80%を超えたものの、98%前後の同業他社に見劣りする。施工不良問題に加え、コロナ禍で学生などの入居が伸び悩む。

 同事業は、入居者からの収入が物件オーナーへ支払う賃料を下回れば損失が広がる。施工不良問題で修繕中の物件の賃料もオーナーに払う必要がある。空室の施工不良物件は約2万5000戸と全体の約4%を占め、全物件の修繕は24年までかかる見通しだ。

 レオパレスは23年3月には入居率が9割に回復すると見込む。ただ、「修繕工事の進展は遅く、入居率の大幅改善は容易ではない」(SMBC日興証券・田沢淳一シニアアナリスト)との見方は強い。レオパレスは昨年から、オーナーへの賃料引き下げ交渉も進めている。

債務超過 続けば上場廃止

 債務超過とは、借入金や社債などの「負債」が、不動産や機械などの「資産」を上回った状態を指す。会社が全資産を売却しても負債を返せない状態で、危機的な経営状況とみなされる。

 資産と負債の差額を「純資産」と呼び、レオパレスは21年3月末時点で財務諸表上は純資産が32億円のプラスとなっている。子会社にフォートレスが出資した分を、「非支配株主持分」として純資産に計上しているためだ。

 ただ、東京証券取引所は、純資産から「非支配株主持分」などを除いた「自己資本」を基に債務超過か否かを判断する。レオパレスは自己資本はマイナス84億円となるため、東証基準では債務超過となる。レオパレスは23年3月末(東証のコロナ禍に伴う特例を適用した場合)までに自己資本をプラスにできなければ上場廃止となる。

タイトルとURLをコピーしました