レゴで子供の能力開発 遊びながら創造力、集中力養う

ブロックのおもちゃ「レゴ」を教材に、子供たちが遊びながら学ぶ教室が人気だ。仲間たちと楽しく組み立てるブロック。数学や物理の基本を学び、創造力や集中力、コミュニケーション能力を養うことにもつながるという。(横山由紀子)
 ◆夢中で作り上げ
 「このブロックは何色かな? いろんな言葉で表現してみて」
 「夕焼けの色」「消防車の色」「リンゴの色」
 「レゴ・エデュケーション・センターACTA西宮教室」(兵庫県西宮市北口町)で行われた、4歳児を対象にしたレッスン。赤いブロックを見せながら問いかけたインストラクターに、子供たちは赤色を表す言葉を次々と挙げていく。
 ひと区切りつくと、次は大きなレゴブロックをみんなで色ごとに積み上げていく。すると、背の高さに達したところで全体がぐらつき始めた。「ブロックの下の方が小さいからグラグラするんだよ。底をガッチリ組んだらしっかりするよ」。インストラクターから構造の説明を受け、子供たちは底の部分のブロックを補強すると、無事、解決した。
 ヘッドインストラクターの増田智子さんは「物が立つための仕組みを知り、問題解決力が養われる。コミュニケーション能力も培われます。夢中で何かを作り上げ、その過程で学んだことはどんな教えよりも深く体に染みます」と話す。
 ◆アイデア生み出す
 レゴ教室は、関東と関西に12教室あり、3歳から10歳までの子供たちが年齢に応じたカリキュラムで学んでいる。
 ACTA西宮教室では、四国から通う受講生もおり、土曜、日曜のクラスはキャンセル待ちが出るほどの人気だ。専門のインストラクターの指導を受けながら、3歳児はレゴブロックで動物や車などを作り、身の回りの人や物に対する興味を広げる。5歳児からは、レゴブロックで作ったメリーゴーラウンドを回転させて、中心軸や重力、バランスなど物理の基礎を学ぶ。小学3年生の8、9歳児からは、ロボットの組み立てやプログラミング技術を習得するという。
 西宮市樋之池町の増田有亮君(5)と弟の雄大君(4)は、レゴ教室に通って間もなく2年。母親の淑子さん(35)は「作った作品を褒められるとやる気になり、レゴ教室に通うのが楽しみのようです。語彙(ごい)が増え、表現力が豊かになり、集中力も身に付きました」と喜ぶ。
 子供の遊びと発達に詳しい、同志社女子大現代社会学部の上田信行教授はこうした取り組みについて、「知的好奇心を刺激しながら手を動かし、出来上がった作品を仲間とシェアして振り返り、さらに再構築していく。レゴ教室には、即解答が求められる学校教育にはない、創造的な学びのプロセスがある」と評価。そのうえで、「レゴに限らず、子供たちが『楽しい』と思う活動の中にこそ学びがある。詰め込み型の知識より、アイデアを生み出す能力を磨くことは、実社会で生きていく力にもなるのでは」と話している。
【メモ】レゴ(LEGO)
 デンマークに本社がある玩具メーカー「レゴ社」が、1958年に開発したプラスチック製のブロックのおもちゃ。“よく遊べ”という意味のデンマーク語の造語で、130カ国以上で販売されている。レゴを学びの教材とする教室は、日本では平成16年にスタートし、現在6都府県に12教室。中国や韓国でも多くの子供たちが学んでいる。教室の問い合わせは(電)03・6234・1808。

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