国内ハンバーガー業界シェア第3位で、「エビバーガー」「絶品チーズバーガー」などを看板メニューに持つロッテリア(運営元:株式会社ロッテリア)は、毎年11月29日(いい肉の日)に「1年間頑張った自分へのご褒美」というコンセプトで「ご褒美バーガー」を発売しており、今年も本日29日より期間数量限定で販売を開始した。
今年は「黒毛和牛ハンバーグステーキバーガー(ダブルトリュフソース)」(1000円/以下、和牛バーガー)という高級素材・トリュフを使用したバーガーで、発売前から一部ネット上などでは「写真を見るからに美味しそう」「マクドナルドの1000円バーガーとどちらが美味しいか気になる」などと話題を呼んでいた。
この和牛バーガーとは、一体どのような商品内容・味付けなのか?
「和牛バーガーの主役となるパティには、“ご褒美”にぴったりの贅沢な国産黒毛和牛を使用した、厚さ約4cm、約200g にも及ぶ食べごたえのあるハンバーグパティを開発しました。ステーキのようなジューシーな食感を楽しめます。味の決め手となるソースにも“ご褒美”らしく、世界三大珍味のひとつである黒トリュフ入りの2 種類のソースを採用。ハンバーグパティの上にかける黒トリュフ・クリームソースは、肉本来の味わいを損なわない口当たりの柔らかいホワイトクリームベースのソースに黒トリュフとトリュフオイルを入れ、風味豊かなソースに仕上げました。
また、ハンバーグパティの下に敷き詰める黒トリュフ・フォンドボーソースは、煮詰めたブランデーに、ソテーしたオニオン、トマトペースト、バルサミコ酢、フォンドボーなどで上品な甘さに仕立て、これに黒トリュフを加えました。2 種類の贅沢なソースのハーモニーをお楽しみいただけます。これらを、1 等粉を使用して手丸め風工程を採用したバンズでサンドした、まさに贅沢尽くしな“ご褒美”バーガーです」(ロッテリア広報)
実はロッテリアは経営難で企業再生会社と資本提携し新生ロッテリアとなった2006年当初、高級路線に転換し、現在でも看板メニューとなっている「絶品チーズバーガー」を発売、発売3日間で当初予定の1カ月分を完売した過去を持つ。広報によると、今回の和牛バーガー発売と同時に、絶品チーズバーガーの季節限定商品として、「角切りベーコン絶品チーズバーガー(トリュフソース仕立て)」も発売するという。
このようなロッテリアによる高級志向戦略の背景には、シェア争いをするライバルであるモスバーガーのヘルシー志向や、マクドナルド(マック)のボリューム志向との明確な差別化を意識していると考えられている。さらに「グルメ感」を前面に打ち出す戦略で勝負に出て、競合他社との差別化でシェア拡大を図りたいという思惑もうかがえる。実際ロッテリアは会社のキャッチフレーズとして「業界初」を掲げているだけに、今回の和牛バーガーは「高級」「グルメ」というハンバーガー業界において競合の少ない領域を意識したメニュー開発と考えられ、高級グルメ好きな女性層を新規に顧客として取り込める可能性も秘めている。
●気になるお味は?
そして気になる和牛バーガーのお味だが、実際に購入した20代男性は、「とにかく肉がジューシーで食べごたえがあり、味付けも濃すぎないので肉本来のうまみを味わえる。肉好きにはたまらないと思う。これなら1000円払ってもよい」と好感触を示した。
また、20代女性は、「厚さがあるため、少し食べにくい。食べやすいようにカットするなどの工夫がほしかった。また、具がほぼパティのみなのが少し寂しい。もう少しほかの具材も盛り込んで、味にバラエティがほしい」との感想を漏らした。
このほかにも、7月にマックが期間限定で発売した“1000円高級バーガー”「クォーターパウンダージュエリー」も食べたという30代男性は「マックの1000円バーガーは味が濃すぎて、パティと数種類盛られた具も全体的にバランスが取れていない印象があった。それと比べて、今回の和牛バーガーは味付けも上品で具もパティのみなのが、かえってシンプルでよい。また、風味あるバンズも美味しく、具との調和も取れているように感じた」と語るなど、満足げな様子だ。
果たして今回の和牛バーガーがロッテリアにとって新規顧客層開拓、そしてシェア拡大の突破口となるか? 今後の動向が気になるところである。
ロッテリアは1972年2月に設立され、同年9月第1号店がオープン。90年代から経営難となり、2006年に企業再生会社と資本提携した。日本国内では約500店舗、海外では約1100店舗を展開している(13年10月末現在)。
(文=成田男/フリーライター)