ロングセラー玩具「地球ゴマ」が製造中止! 残された「生き残り」への道とは!?〈dot.〉

「地球ゴマ」というおもちゃをご存じだろうか。ジャイロ効果を利用して、どのような角度になっても回転軸を保ったまま回り続ける科学玩具だ。発売されたのは1921年。以来、今年で実に94年になるが、その間たびたびブームを巻き起こし、1960~70年代には年間30万個もの売り上げを記録した商品として、そしてまたジャイロ効果を学ぶための科学教材として、長く愛され続けている。

ところが先日、ネット上を驚くべき噂が駆け巡った。今年の春には、「ついに地球ゴマの製造が終了してしまう!」というのだ。そしてその噂は、2月6日付の中日新聞に掲載された記事で裏付けられた。名古屋市にある地球ゴマ製造元のタイガー商会・巣山重雄社長への取材記事によると、4月をめどに製造を終了するだけでなく、タイガー商会自体が事業を終了するのだという。これもまた時代の流れか、アナログおもちゃはもう過去の遺物なのだろうか。

「決して負債を抱えて倒産した、といった赤字経営的な問題ではありません」と、タイガー商会の技術者の一人、鳥居賢司さんがその内実を語ってくれた。記事にも書かれているように、あくまでも経営者や職人の高齢化に伴い、後継者がいなくなったしまうこと、それが理由なのだという。

実際、注文がなくなったわけではない。現在は職人が3人と、ピーク時の10分の1に減ったために生産数が減ったのは事実だが、それでも年に数万個を製造しており、現在もなお、12月受注分を(予定より遅れつつ)製造中なのだという。

ところで、ニュースの力は大きく、記事が出てからの数日間、電話が鳴りっぱなしだったようだ。

「皆さん、子供のころに地球ゴマで遊んだことを懐かしみながらも、地球ゴマがなくなってしまうことに、惜しい、寂しい、残念、と伝えてくれます」(鳥居さん)

そう、増産が難しいというだけで、地球ゴマはまだまだ現役なのだ。そして実は、地球ゴマの製造終了も、まだ完全な確定事項ではない。鳥居さんは「事業を引き継ぐ人がいれば、地球ゴマは残っていくことも十分可能」なのだと語る。

「歴史的にも地球ゴマは貴重な日本の財産ですし、失うにはもったいない。それでも職人が高齢でこれ以上は継続できない、という現状ですので、なんとかそれを打開すべく、新たな後継者探しをしようと思います」(同)

そんな鳥居さんは、最新技術で再設計した斬新なデザインの「フェラーリのような地球ゴマ」を誕生させたいと夢想しているという。

地球ゴマの存続を願い、かつ鳥居さんの夢に賛同し、何より技術者、経営者として引き継ぐことに興味のある方は、ぜひとも名乗りを上げてほしい。地球ゴマ生誕から今年で94年、今から後継者になるのなら、地球ゴマ生誕100周年の当事者はあなただ!

(ライター・田中元)

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