ローソンの本部社員5人ほどが、出店を担当した関東のフランチャイズ店約10店で、売上高をかさ上げしてノルマを達成するために収入印紙を自費で購入していた。100万円規模で買った社員もいた、というその手法を、関係者が証言した。
ローソンの内部事情に詳しい関係者によると、社員による印紙の自腹購入は、店側に準備を頼むことから始まる。通常のローソン店には数万円分の印紙しかないからだ。
新店の物件探しなどを担う出店担当の社員は、店の経営を指導する別の社員を通じ、店に印紙を仕入れておいてもらう。
店での印紙購入は、総額が数十万円以上になる場合は2回に分けることもあった。買った収入印紙は、金券ショップに持ち込んで換金していた。
「自腹営業」が社内で確認された2018年度当時、首都圏の金券ショップには額面の97%で換金する店があったという。換金率の高さを目当てに他県から持ち込む社員もいた。
それでも、3%分の差額分は自腹。合計で年に10万円以上を負担する社員もいたという。
自腹営業が始まった直接のきっかけは、18年度に、出店を担う社員の新たな評価方法が導入されたことだと関係者は話す。出店担当の社員は、手がけた出店の数が増えれば賞与も増えるが、その基準が示された。
1日あたりの売上高(日販)が、オープンの翌月、当初の年平均予測の80%に達しなければ、出店と認められない。65%に達しなければ、逆にマイナス1店とみなされる。
収入印紙を100万円分買えば、月平均の日販を3万円ほどかさ上げできる。18年度の新店の平均日販は48万4千円だった。