ロールス・ロイスCEOが語る世界戦略 2940万円からの超高級車、日本では年90台販売

エントリーモデルで2940万円、最高級モデルは5640万円と、異次元の超高級車ブランド「ロールス・ロイス」。1904年創業のイギリス高級車メーカーを発祥として、曲折を経て、2003年にドイツBMWがブランドを買収、新たな自動車会社「ロールス・ロイス・モーター・カーズ」として再出発した。
リーマン・ショック、欧州経済危機と、超ラグジュアリー商品にとっては厳しい環境が続いてきたが、出遅れていたアジア・大洋州地域への販売網拡充が功を奏し、業績は拡大基調にある。
2012年のグローバル販売台数は3575台。そのうち日本は90台程度を占め、正規代理店であるコーンズ・モータースやニコル・グループが販売している。アジア・大洋州地域では、中国に次ぐ台数だ。
■日本の販売環境も好転
では、日本での事業の状況はどうなのか。インタビューに応じたトルステン・ミュラー・エトヴェシュCEOはこう語る。
「日本での事業環境は、新しい経済政策の影響もあり、好転している。顧客がショールームに戻ってきている。ハイエンドのラグジュアリーカーを買おうという意欲が出てきているようだ。2013年も販売台数は増やせるだろう」。
とはいえ、追い風に乗って一気に事業を拡大するつもりはないと言う。
「超プレミアムブランドであり、数量を追わない。一台一台職人の手作りで、他に類を見ないブランドとして、顧客の期待に応えることがもっとも重要だ。グローバルで年率1~2%の安定的持続可能な成長を目指す」。
その成長のカギを握る車の一つが、今年投入した「レイス」だ。同社は4年前に旗艦モデルのファントムより約4割安いモデルのゴーストを導入し、新たな顧客層の開拓に成功した。
レイスは、ゴーストと同じ価格帯で、よりスポーティなスタイルの2ドアクーペだ。「オープンカーの発売も計画している」。
ただし、「これ以上安いモデルや小さい車の投入はない」と言う。新モデルを投入する予定も今のところはないようだ。
今後の新車開発の方向性については「ロールス・ロイスとして、特定の用途を想定した実用車をつくるつもりはない。だが、たとえばSUVなどの現在のラインナップにないモデルをやるとすれば、どのようなアプローチがありうるのか、デザイナーに検討させている」と語った。

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