万里の長城のレンガ窃盗未遂で逮捕の男、目的は自宅風水改善

自宅の風水を改善するために、北京市郊外の万里の長城からレンガを盗もうとした若い男2人が激しい吹雪のため山中で立ち往生し、生命の危険にさらされていたところを危うく地元の住民に助けられていたことが分かった。警察では窃盗未遂の疑いで2人を拘束して取り調べたという。

 万里の長城ではレンガなどの盗難が頻発しており、中国全土の約2万1000キロに及ぶ長城の約30%が既に消滅している。保存状態が良いのは10%以下で、中国紙『法制日報』は「『万里の長城』ならぬ『瀕死の長城』で長城は崩壊の瀬戸際にあり、危機的な状態だ」と指摘している。

 男らは20歳と26歳の2人組で、昨年末の夕方、北京市近郊の懐柔区にある「慕田峪長城」付近を徒歩で移動中、道に迷って立ち往生。雪が降り出し、時間がたつにつれて吹雪になり、夜も更けて周りの状況が分からなくなった。零下10度の厳寒のなか、高さ50m以上もの山中の崖の下に閉じ込められてしまった。

 2人は大きな声で助けを求めたが、当初は誰にも気が付かれず、危機的状態に陥ったが、その4時間後の午前零時近くになって、携帯電話で助けを求めた万里の長城管理員の男性によって発見、救出されたという。

 2人は警察につき出されて取り調べを受けることになった。当初、「観光できたが、途中迷子になってしまった」と主張していたが、取り調べに当たった警官が、2人が空の袋をもっていることに着目。2人は「ゴミを拾うために使うつもりだった」と言い張ったものの、警官は長城近くのレストランで、2人が食事をした際、「万里の長城のレンガが22kgは必要だ」などと話していたとのレストラン従業員の供述を得たため、2人の身柄を拘束して、取り調べを続けたという。

 この結果、2人は自宅を改築するため、レンガが必要だったこと。万里の長城のレンガは風水の上からも縁起が良いことから、長城のレンガを盗もうと計画したと自白したという。警察は2人にそれぞれ100元(約1600円)の罰金刑を科したという。

『法制日報』によると、中国では万里の長城のレンガの盗難が相次いでおり、民家の建築用や農業目的、さらに観光客への土産物として売ったりしているという。特に文字が刻まれているレンガは高値がつくので狙われやすいという。

 このような盗難が相次いでいることから、北京から東北へ約300kmの燕山山脈に位置する河北省青龍県政府は地元住民に対して、レンガを持ち去ったり、長城を破壊している者などについての情報を提供した場合、報奨金を支払うと宣言。5万元(約80万円)もの報奨金を予算計上しているという。

 ネット上では「万里の長城は中国人全体にとって、先祖が残してくれた偉大な遺産だ。もう、一部の無知な人々による蛮行によって、中国人が国際的に馬鹿にされることは止めてほしい」など悲憤慷慨の声が上がっている。

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