三菱商事、グリーン水素供給へ欧州で風力発電…シェルと連携

三菱商事が、英資源大手シェルなどと連携し、製造時に二酸化炭素(CO2)を出さない「グリーン水素」の供給に乗り出すことがわかった。欧州で大規模な洋上風力発電所を建設し、2030年に年40万トンの製造を目指す。天然ガス由来の水素を置き換え、脱炭素を進める。 【動画】中国の洋上風力発電の現場

 三菱商事の子会社で、欧州で再生可能エネルギー事業に取り組む「エネコ」が、シェル、ノルウェーのエネルギー大手エクイノールなどで作る共同事業会社に10%を出資することを決めた。

 30年までに、オランダ沖合を中心とした欧州の海域で、原子力発電所4基分にあたる約400万キロ・ワットの洋上風力発電所を建設する。発電した電力を使って、グリーン水素を製造する。事業の総投資額は3000億円を超す計画で、三菱商事はこのうち数百億円規模を投じる見通し。

 水素は、工場のボイラーや家庭用暖房などの燃料のほか、アンモニアを合成して肥料の原料にするなど、様々な用途に使われる。現在、ほとんどの水素は天然ガスを始めとした化石燃料から製造している。

 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、天然ガスへの依存を減らすために、水素への注目が高まっている。この計画が実現すれば、欧州連合(EU)が21年にロシアから輸入した天然ガスの1%程度の量を減らすことができる。

 三菱商事は30年度までに、再生エネに約1兆円を投資する方針を掲げている。国内では、秋田・千葉県沖の3海域で、洋上風力発電所を建設する計画を進めており、次世代エネルギーの開発に力を入れている。

 ◆グリーン水素=二酸化炭素(CO2)を排出せずに製造した水素。再生可能エネルギーで発電し、水を電気分解する。化石燃料から作る場合は「グレー水素」、製造時に発生したCO2を回収・貯留する場合は「ブルー水素」と呼ばれる。

タイトルとURLをコピーしました