三菱自動車もオリコンも「インフレ手当」支給企業続々 専門家は「ボーナス上乗せより毎月少額ずつが効果的」

 相次ぐ物価高に対応すべく、企業が続々と「インフレ手当」支給を表明している。11月29日、三菱自動車は従業員に最大10万円の「特別支援金」を支給することを明らかにした。

 ほかにも、オリコンは月1万円の「インフレ特別手当」の支給を発表。正社員、契約社員、嘱託社員、アルバイトにも支給されるという。家電量販店のノジマも、「物価上昇応援手当」として月1万円の支給を始めている。

 帝国データバンクが11月中旬に実施したアンケートによれば、インフレ手当を「支給した」企業は6.6%、「予定」「検討中」と答えた企業を含めると、26.4%という結果が出ている。全体の4社に1社が、物価上昇に対しなんらかの手を打っていることになる。

 SNSでは、「うらやましい」といった声が続出した。

《インフレ手当なんてものがあるの?すげーな。うらやましい。》

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《インフレ手当って、本当に存在するのですか?毎月もらえるのですか?もらえる方々がうらやましいです。ひとまず電気代(テレワークでつかう分)だけでも、支援してほしいところです。》

《インフレ手当いいなぁって思うけど、それ以上に根本的に給料あげてほしいなーーー》

 こうした動きについて、人事ジャーナリストの溝上憲文氏が解説する。

「当座のしのぎとしてインフレ手当を出すのは、基本的にいい取り組みだと思います。10月には物価が3.6%上昇し、40年ぶりの伸び率を見せています。一方、2022年4月、労働組合の連合の賃上げ率は2.07%でした。この数字を全体の平均とすると、それを上回る形で物価が上がっていますから、当然、生活は苦しくなっています。

 生活が苦しければ、仕事で十分なパフォーマンスを出すことも難しくなっていきます。『生活費の補填』のために、各企業がインフレ手当を支給することは、2023年春の賃金改定にもつながっていくはずです。

 1970年代にオイルショックがありましたが、当時もインフレ手当を出した企業が多く見られました。インフレ手当が出たのは、あれ以来なんじゃないでしょうか」

 基本的には効果的だというインフレ手当。だが、問題点もある。

「手当をどういう形で出すかは重要です。ボーナスに上乗せして出すパターンと、毎月の定額手当として出すパターンに分かれますが、毎月、少額ずつを渡したほうが、経済効果としては高くなります。

 というのもボーナスの場合、『額が少し上がっただけ』という感覚になりやすいうえ、どうしても貯蓄に回しがちになります。それよりも、毎月8000円から1万円ほどを支給し、電気代に回したり、その他の消費に回したりする、といった使い方のほうが、景気への影響も大きく、生活が楽になる感覚も得やすいでしょう」(前出・溝上氏)

 今後も、インフレ手当を出す企業は増えていく可能性が高いという。

「物価が上がり続ければ、出す企業も増えます。加えてインフレ手当は、所属する社員の士気が上がるだけでなく、『社員に優しい企業』として学生や転職志望者にアピールできる効果もあるんです。

 また、業界でこうした取り組みが始まると、経営者というのは横並びでやりたがるところがあります。三菱自動車が始めるなら、ほかの自動車メーカーや関連メーカーが『うちもやらないとまずいだろう』と言い出す可能性は十分あります。そうした形で広がるパターンも考えられます」(溝上氏)

 従業員のモチベーションのためにも、経営者には英断を期待したいところだ。

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